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・日本政府による口頭での介入警告なしで、円安は38年ぶりの安値まで進行
・独CPI指数低下と仏選挙の不透明な行方からユーロは下落
・米国債利回り上昇で米ドルも小幅上昇、FRB議長の発言に注目
円安は38年ぶりの安値まで進行
日銀による金融政策正常化への意思ついて疑問が投げかけられる中、米国債利回りが予想外に上昇し、本日の日本円は米ドルに対して38年ぶりの安値まで下落し、1ドル161円75銭を更新しました。過去1か月間、円安が進行しているにもかかわらず、この局面において、日本政府による目立った口頭での介入の警告はありません。
鈴木財務相は、政府が市場を引き続き注視しているとのいつものコメントをしましたが、介入への明らかな警告はしませんでした。鈴木財務相は、為替政策担当となる神田財務官の後任が7月31日に就任するまでは行動を起こさない可能性もありますが、同時に為替介入の許容度が高まっている兆候とも受けて取れます。
日本円にとってのいくらかの安心材料としては、米ドル以外他の主要通貨に対してはやや堅調に推移しており、米ドルに対しての下落は、主にドル高によるものということです。
米ドル続伸
投資家は、FRBが年内に2回の利下げを行うことに確信を持ち始めているようですが、他の中銀が既に利下げに踏み切っていることもあり、米ドルは6月以降浅い上昇トレンドとなっています。先週の米大統領選の討論会でのバイデン大統領の精彩に欠けるパフォーマンスの後、トランプ氏が11月の大統領選にて勝利する可能性が高まり、ここ数日の米ドルは、国債利回りの上昇に支えられて上昇しています。
トランプ氏が大統領に選出される場合、減税になると見られており、すでに非常に高い国家債務が増大する可能性が高いでしょう。
FRBがタカ派的姿勢を緩めないことも、また米ドル上昇の一因となっています。先週の金曜日に、米コアPCEインフレが低下し、昨日のISM製造業PMI指数も予想を下回ったことから、インフレ圧力が緩和し、米経済がいくらか冷え込んでいることの裏付けとなりました。
FRBパウエル議長は、ポルトガルのシントラにて開催されているECBフォーラムにて、本日ECBラガルド総裁とともにパネルディスカッションに参加する予定です。もし、パウエル議長が9月の利下げの可能性を示唆する場合、米ドルが後退する可能性があります。
仏議会選挙とユーロ圏のCPI指数減速がユーロの重荷に
ユーロに関しては、フランス議会選挙が主な焦点となっており、今週日曜日の第2回投票を前に国民連合に対抗すべく、他の党派が同盟を組むことに奮闘しています。先週の第1回投票では、国民連合が1位となりましたが、第2回投票後は、戦略的な投票から、政権樹立とはならない可能性もあります。多くの選挙区が三つ巴の決戦投票に直面する中、第2位の候補者が国民連合の候補者を相手に勝利するために、中道派と左派が同盟を組んで、お互いの票を集めることを目的に、第3位の候補者に辞退するよう促しています。
この同盟によって、フランス議会は宙づり議会となる可能性が高くなりますが、投資家にとっては、極右が政権を握るよりは好ましい状況となることから、ユーロは上昇するかもしれません。しかし、本日のユーロは、ユーロ圏での6月の総合CPI指数速報値が2.5%まで減速したことから、追加利下げの可能性が高まり、下落しています。
本日はまた、JOLTSによる求人件数の発表もあり、金曜日の米雇用統計を前に注目となるでしょう。