マーケットコメントー今週の米経済データで米ドル上昇となるか

投稿日: 2024年6月25日17時38分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・本日の米経済データとFRBメンバーの発言に注目
・米株式市場は再び赤字も上昇トレンドは維持
・カナダとオーストラリアは重要なインフレレポート発表
・日本円はやや回復も依然として介入警戒レベル

米ドルは引き続き下落基調

比較的ニュースのない中、米ドルはユーロに対して、引き続き圧力を受けています。シカゴ連銀グルースビー総裁は昨日、ややハト派のスタンスを維持しましたが、市場はサンフランシスコ連銀デーリー総裁の発言に注目したようです。中立派と見られるデーリー総裁は、ある大手投資会社が昨日述べたように、FRBが12月まで利下げを待つとの現実的な可能性を市場が検討始めていることを裏付けました。

結局のところ、米経済データが今後のFRBの方向性を決定するになります。今週は、木曜日に耐久財受注と最も重要である金曜日に個人消費支出(PCE)レポートの発表が予定されています。また、新築住宅販売件数や住宅販売保留指数と様々な住宅価格指標など、一連の住宅セクター関連の経済データも発表されます。本日は6月のコンファレンスボードによる消費者信頼感指数が発表となり、タカ派は現在のスタンスを正当化できる堅調な数値を期待しています。本日はまた、FRBボウマン理事とクック理事も講演する予定です。

一方、米ドルは11月の大統領選のキャンペーンの影響が出てきているようです。木曜日には大統領候補による最初の討論会が開かれます。今回の討論会はかなり制限的に設定されており、共和党候補であるトランプ氏が裁判所の有罪判決を受けて失った地盤の回復を試みる中、両陣営共に議論の推進を抑制する可能性は低いでしょう。

このような進展の中、市場は株式市場、特にエヌビディア株が実際に下落している事実を受け入れようとしています。S&P500は、3セッション連続で下落となりましたが、全体の見通しは引き続き変わらず、テクニカル的には現在の上昇トレンドは維持されています。月末と四半期末のバランス調整も今週は重要な役割を果たす可能性があり、大手ハイテク株に注目が集まっています。

前向きなニュース欠如もユーロは上昇

ユーロは、前向きなニュースがないにもかかわらず、米ドルとポンドに対して 最近失った一部の回復を試みています。フランスは今週末に最初の下院議会選挙を控え、ルペン氏の率いる右派連合が依然としてリードしており、マクロン大統領の連合の3位に大きく差をつけると見られています。さらに、金曜日の大幅に低調となったユーロ圏のPMI指数を受けて、昨日の企業信頼感調査によって、ドイツとベルギーの経済が今年の第2位四半期は軟調となることが確認されました。

カナダとオーストラリアのインフレレポートに注目

今週は金曜日の米PCEレポート以外には、本日はカナダ、そして明日のアジアセッションでは、オーストラリアのインフレレポートが発表となります。カナダ銀行は7月に利下げをすると見られる一方で、オーストラリア準備銀行は前回会合では利上げの可能性も議論されるなど、 正反対の問題に直面しています。この乖離から、豪ドル/カナダドルは、2月初めの安値から約4.5%上昇しています。

日本円は若干回復

日銀の前回会合での意見要旨にて、追加利上げと国債買い入れ減額への強力なサポートが示唆され、本日の円相場は若干回復しているようです。しかし、日本政府による口頭での介入警告がない中、ドル/円は引き続き160円をやや下回る水準で取引されています。