マーケットコメントー米ドルは3週間連続で上昇へ、株式市場のラリーは一段落

投稿日: 2024年6月21日18時34分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・スイス中銀の利下げと英中銀のハト派スタンスで米ドルは上昇基調
・日本国内の基調的なインフレ率低下で円安は介入ゾーンまで進行
・ユーロ圏のPMI指数低下でユーロ下落、米PMI指数も本日発表
・トリプルウィッチングデーを前にエヌビディア株は利益確定となりナスダックも下落

米利下げ観測高まるも米ドルは上昇

今週の米ドルは、3週連続上昇を維持して取引を終えそうです。米インフレ圧力の減速が見られ、またFRBが年内に2回の利下げを行うのではとの期待が高まり、米経済を広範囲にわたって押し上げています。米利下げ観測については、最初の利下げは9月となると予想されており、他国の中銀が緩和政策に着手する後になると見られています。

スイス国立銀行は、昨日2会合連続で利下げを発表し、今月で利下げを実施した3番目の中央銀行となりました。一方で、イングランド銀行は昨日の会合で金利を据え置きましたが、議事録では、この決定は「微妙なバランスが取られた」ことが明らかとなり、総選挙を終えた8月には利上げの可能性があることが示唆されました。

昨年5月以来、強気圏で推移していたスイスフランは、主要通貨に対して下落し、ポンドも米ドルに対して1か月ぶりの安値まで下落しました。米経済データが引き続き低調となり、9月の利下げを正当化するとしても、FRBは緩和サイクルに着手する最後の中央銀行の一つとなると見られていることから、米ドルはサポートされています。

ユーロと日本円は下落基調

フランスでの政治的混乱を受けて、今月のユーロは下落しており、ECBによる連続利下げの後退によって支えられています。本日の6月のユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)速報値が大幅に低下したことから、ハト派的見解が高まりました。総合PMI指数は3月以来の低順まで落ち込み、ユーロは1.07ドルを下回りました。

今月は、日本円も新たな売り圧力に晒されています。日銀植田総裁が来月での追加利上げの可能性を示唆したにもかかわらず、国債の買い入れ減額に関する発表を7月会合まで延期したことが市場にはハト派と受け止められました。

しかし、市場はこの見解に納得しておらず、本日の国内CPI指数によってもこの疑念は裏付けされました。生鮮食品のみを除いたコアCPI指数は2.5%に加速したものの、変動の大きい品目を除いたCPI指数は6月に1.7%まで低下しました。この全国CPI指数を受けて、米ドルは159円を突破して上昇しており、神田財務官が通常通り介入の警告を発することになりました。

本日の米PMI指数とトリプルウィッチングデーにより株式市場には警戒感

市場の焦点は、本日の米PMI指数へ移ります。昨日の住宅着工件数の大幅な落ち込みの後、本日のデータも米経済の予期せぬ減速を示す場合は、市場の懸念材料となりえます。しかし、投資家が期待する物価圧力の緩和が示される場合は、リスクセンチメントにとってもプラスとなるでしょう。

昨日の米株式市場は今月の上昇ラリーの後、利益確定となり、さらに本日は個別株オプションと株価指数先物、そして株価指数オプションの決済日が重なるトリプルウィッチングデーとなることから、ボラティリティが高まるリスクがあります。

エヌビディアとアップルは、昨日大幅に下落した銘柄となり、ナスダック100は0.8%下落しました。

株式が世界的に下落し、原油先物が今週の大幅な上昇の一部を返還する中、この株式の売りで本日のリスク選好度は後退しているようです。