マーケットコメントー今週のFRBメンバーの発言と米経済データで米ドル上昇となるか

投稿日: 2024年6月20日18時12分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・昨日の米市場休場後、米経済データとFRBメンバーの発言続く
・本日は英中銀による政策会合決定も現状維持の予想
・スイス中銀は利下げ発表も為替介入への姿勢は維持
・円安進行も日本政府関係者は沈黙

米ドルは依然として下落基調

昨日は米国の祝日のため、米市場は休場となりましたが、本日の市場は、ユーロ圏にとっては特に重要となる明日の欧米のPMI 企業調査の速報値に向けて準備態勢に入っているようです。フランスでの下院議会選挙を今月末に控えての政治的懸念と、ユーロ圏の債券危機再来への懸念はともに緩和しており、ユーロは米ドルに対しての損失の一部を取り戻しました。

本日の焦点は、FRBメンバーによる講演となります。ミネアポリス連銀カシュカリ総裁と、リッチモンド連銀バーキン総裁、そしてサンフランシスコ連銀デーリー総裁が講演を予定しており、それぞれタカ派的見解を示すと見られています。しかし、いずれのメンバーも今年はFOMC会合にて投票権を持たないため、市場への影響は限定的となる可能性があります。

反対に、本日の米失業保険申請件数と住宅セクターに関する様々な経済データが、市場を動かす可能性があります。FRBパウエル議長は、今月のFOMC会合での記者会見にて、高金利が住宅市場に及ぼす影響について言及しており、議長の懸念が正当化されるかどうかが注目されるでしょう。

イングランド銀行は本日政策会合決定

本日は、イングランド銀行による政策会合がありますが、4会合連続で金利を据え置くと見られています。昨日の英インフレレポートは強弱まちまちとなり、非常に緩やかなディスインフレが確認されましたが、英労働市場は依然として逼迫しており、平均所得は力強く伸びているため、暴走するインフレ抑制への戦いはまだ終焉していません。

総選挙を2週間後に控え、選挙介入との批判を避けるべく、イングランド銀行のメンバーは公の場に出ることを最小限にとどめています。その結果、本日の会合での金利政策声明と投票結果(5月での会合では2人の委員が利下げに賛成)には、大きな変化はないと思われます。さらに、記者会見も本日の会合では予定されていません。

公の場でのコミュニケーションはないにもかかわらず、イングランド銀行は休止しているわけではなく、重要な8月1日の金利政策会合に向けて準備を進めています。8月の会合には、四半期ごとの英経済の見通しと記者会見が予定されており、金利変更の可能性を示唆したり、9月の会合での動きに向けた準備を整えることになります。興味深いことに、多くのエコノミストは、8月に0.25%の利下げが発表されることを確信しているようです。

この情勢を背景に、ポンドはユーロに対しての上昇分の一部を返還していますが、この動きには、主にユーロ圏の政治リスクが低下したことによります。本日のイングランド銀行の政策決定が予想通りとなる場合、ユーロ/ポンドは上昇する可能性があり、8月での利下げの可能性を示唆するようなハト派的な声明によっては、ユーロ/ポンドは0.8504の水準まで押し上げられるかもしれません。

スイス国立銀行は利下げ発表

スイス国立銀行も本日政策会合があり、0.25%の利下げを 発表し、為替市場への介入を継続する意向を改めて表明しました。インフレ率の予測は、2025年と2026年ともに若干下方修正され、追加利下げの可能性が残されています。スイスフランはユーロに対して下落しており、重要なレジスタンスゾーンに近づいています。

円安進行も日本政府は沈黙守る

市場の注目がユーロ圏に注がれる中、ドル/円は小幅上昇しています。円相場は158円を突破しており、4月中旬に日銀による2回の介入が行われた水準に近づいています。日銀は国債の買い入れを減額すると発表したにもかかわらず、市場は依然として、日銀による行動の欠如に落胆しています。

政府関係者が特に沈黙と貫いており、いつものような介入への警告を避けていることも注目に値します。明日のアジアセッションでは、全国消費者物価指数が発表となり、インフレ圧力が小幅上昇すると予想されていることから、今後の国内経済データが日本円の回復に役立つと期待しているのかもしれません。