マーケットコメントー米ドル上昇、円安進行も米株式市場は上昇基調

投稿日: 2024年6月14日18時09分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・日銀は本日の会合で現状維持、円安進行
・水曜日の米CPI指数から米ドルは回復
・米株式市場の楽観ムードは継続

本日の日銀政策決定は市場の予想通り

本日の日銀の金融政策会合にて、金利の据え置きと国債買い入れの縮小を決定しましたが、具体的な買い入れ額の決定については、7月での会合まで延期したことから、再び円安が進行しています。植田総裁は、記者会見にて、市場の反応を緩和するよう試みましたが、市場はこの実際の発表内容について特に材料視しています。

結果として、ドル/円は上昇し、4月下旬に日本政府による介入があった水準にかなり近づいています。米ドル上昇の圧力が継続する場合、 日銀は通常口頭で介入を警告することになりますが、介入に対して躊躇しないと思われます。

米ドルは回復基調

米ドルはユーロに対して上昇しており、水曜日の米CPI指数とFOMC会合後の下落分をほぼ取り返しました。市場は現在9月でのFRBによる利下げの確率を72%に織り込んでいますが、パウエル議長の発言からも明らかなように、利下げ決定を正当化する経済データが必要となります。

本日はそれほど重要な経済イベントは予定されていませんが、市場は米利下げを裏付けるニュースを待ち望んでいます。したがって、本日の米輸出入物価指数によっては、ユーロ/ドルにおいて数%の変動となる可能性もあります。しかし、市場の注目はおそらく、ミシガン大学消費者信頼感指数の速報値とFRBメンバーによる発言内容となるでしょう。消費者信頼感指数は、消費者の購入意欲を測る重要な指標であり、最近の調整が継続するかが興味深いところです。また、FRBのハト派であるシカゴ連銀グールスビー総裁とクック理事が本日講演を予定しています。

欧州での政情不安からユーロは続落

ヨーロッパ議会選挙の結果を受けて、ユーロ圏での政治情勢が不透明となり、ユーロは続落しています。市場の注目はフランスでの議会選挙で、2週間後に第1回投票が予定されています。政情不安は、2010年代の欧州危機を呼び起こしますが、経済状況は明らかに現在の方が回復しています。

米株式市場は引き続き上昇中

一方で米株式市場は、引き続き最高値を更新しており、主要な欧州株式指数から乖離しています。ナスダックは今週3%上昇し、週刊では4月下旬以来の 高水準となり、今年は16%上昇しています。反対に、ドイツのDAX40指数とフランスのCAC40指数はともに、今週約3%の下落しました。今月のCAC40指数は、2023年5月以来の下落幅となる可能性があります。

ユーロ2024開幕

経済市場とは別に、本日ヨーロッパ各国のサッカー代表チームによるユーロ2024がドイツで開幕します。今年の7月下旬にはまた、フランスのパリにて夏季オリンピックも開幕されることから、スポーツファンにとってはアクション満載の夏となりそうです。ドイツもフランスもどちらも、政治的危機の中、このようなスポーツの大イベントの開催地として、経済的な恩恵を受けることが期待されています。

通常は、スポーツイベント開催中の個人消費と観光収入が増加するだけでなく、開催後何年かは経済的にプラスの効果が期待されます。もしユーロ2024で優勝するようなことになると、この経済効果はさらに増大される可能性があります。ECBとしては、小売売上高と消費意欲全般への影響に注目するかもしれません。