マーケットコメントー市場は米経済軟化を示唆する経済データに期待

投稿日: 2024年6月4日17時53分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・昨日の軟調な米ISM製造業企業調査で米ドル下落
・ECB会合を前にユーロ/ドルは3か月ぶりの高値更新
・カナダ銀行は明日にも利下げに踏み切るか、カナダドルは下落か
・原油価格は数々の弱気要因から下落

米ドルは下落基調

昨日の米ISM製造業景況指数が50を下回り、米経済の製造業の見通しの悪化が示唆されたことから、米ドルは下落しました。新規受注と製造業価格はともに低下し、FRBハト派にとっては朗報となりましたが、米利下げ観測の高まりには、物価圧力の低下を示すより多くの経済データが必要となります。

この米ISM製造業指数を受けて、ユーロ/ドルは3月中旬以来の高値を更新し、米10年債利回りは、4.4%をわずかに上回る水準まで低下しました。市場は現在、11月7日のFOMC会合における0.25%の利下げを完全に織り込んでいますが、米大統領選挙が11月5日に行われることを鑑みると、この時期の利下げは極めて困難となるでしょう。

したがって、この夏の米経済データがこれ以上軟化しないことを前提に、市場はFRBによる最初の利下げを12月での会合まで待つことになる可能性があります。

昨日の市場の反応を受けて、今週の米経済データの重要性が急速に高まっています。水曜日の米ISMサービス業景況指数は、米経済の最大セクターを代表することから、特に景気減速の兆候が見られる場合は、通常以上により大きく市場に影響を及ぼす可能性があります。

ユーロとポンドは米ドルに対して上昇

昨日のドル安と受けて、ユーロとポンドはともに恩恵を受けて上昇しました。ユーロの見通しは、依然としてECBの政策次第となりますが、ポンドは、7月の総選挙までのキャンペーンに影響されています。英総選挙での最新の動きは、ファラージ氏が、抗議運動を基盤とするリフォームUKから立候補したことです。ファラージ氏のリーダーシップは、幅広い政治的領域から支持者を得る可能性がありますが、特に保守党は、ファラージ氏の健闘から最も議席を失うことが予想されます。一部のアナリストの中には、労働党の議席獲得数も、選挙戦開始当初の予想よりもはるかに減少する可能性を指摘する声さえあります。

明日はカナダ銀行による政策会合決定

市場は、カナダ銀行が明日の政策会合にて利下げを行う確率を84%と予想しています。隣国の米国に比べて、カナダはインフレ圧力の低下と労働市場の軟化が示唆されています。ここ最近はカナダ経済の持ち直しの兆候があるにもかかわらず、特に住宅セクターが依然として基盤を固めようとしていることもあり、経済の勢いは依然として弱いままです。

カナダ銀行のボードメンバーが、4月以降大幅な進展が見られると判断する場合、今回の会合での0.25%の利下げを発表するか、または7月での利下げを示唆する可能性があります。現在、7月での利下げは完全に織り込まれています。いずれにせよ、カナダドルは米ドルに対して下落し、ここ最近の上昇の大部分を手放すことになるかもしれません。

原油価格は下落

一方原油価格は下落しているようで、WTI原油が今年2月初旬以来の安値まで低下しました。米経済の軟化と、予想外にも中国経済の成長を示唆する経済データ不足、そして、日曜日でのOPECプラス会合を受けて、10月からの原油供給の増量見込みなどが、現時点では弱気要因として機能しているようです。