マーケットコメントー利益確定売りによる下落後、米ドルは安定推移

投稿日: 2024年5月27日18時53分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 市場はFRBの政策金利据え置きを織り込み済み
  • AI関連株の上昇が牽引し、米株価回復
  • ゴールド価格上昇、しかしながら最高値を大幅に下回る水準

米政策金利据え置き姿勢

先週金曜日の米ドルは、殆どの主要通貨に対して下落しました。トレーダーが先週前半のロングポジションの利益を一部確定させる動きに出たことが要因として考えられます。本日の米ドルは、対主要通貨で狭いレンジ幅内で推移しています。

FF金利先物、及び国債利回りの動きがFRBメンバーによる政策金利の据え置き姿勢を反映していることから、先週金曜日の米ドル安にもかかわらず、ファンダメンタルズの見通しには変化は見られません。市場は年内僅か0.34%の利下げの予測と、9月利下げの可能性の55%への引き下げで、先週の取引を終えました。

FRBメンバーの姿勢に加えて、先週木曜日に発表された米5月PMI指数の予想を上回る結果も市場の米利下げ観測後退要因となりました。

今週金曜日に米4月PCEコアデフレーター発表を控える中、上記の全ての材料を考慮しますと、米ドルトレーダーは引き続きFRBメンバーの発言に注視するでしょう。本日、米市場はメモリアルデーにより休場となりますが、明日のアジアセッションからは、日銀の国際カンファレンスでのクリーブランド連銀のメスター総裁の発言を始めとして、多数のイベントが控えています。

AI 関連株への期待継続の見通し

先週金曜日のS&P 500とナスダック指数は大きく上昇し、木曜日の下落幅の殆どを回復させました。市場はFRBの政策金利据え置き姿勢を織り込んでいるものの、米ドル安が株高に繋がった可能性があります。エヌビディアの予想を上回る決算結果によるAI関連株への成長期待も株高の追い風となったようです。

上記が事実である限り、米政策金利の据え置き見通しだけで米株価反落を予想することは賢明な判断ではないでしょう。年初には年内6回の0.25%の利下げが予想されていましたが、米株高の流れは継続し、今月には過去最高値を更新しました。

株価の値動き要因の幅は、外国為替市場の値動き要因の幅よりも広い為、利下げの先送りはさほど懸念材料とならない可能性があります。追加利上げとならない限り、株式市場は近未来の借り入れコスト低下見通しを歓迎するかもしれません。

ゴールド安の流れは反転の可能性

本日のゴールドは、先週金曜日からの緩やかな回復の流れを継続し、上昇しています。しかしながら、ゴールド価格はFRBの政策金利据え置き姿勢での下落後、5月20日に記録した最高値を大きく下回る水準となっています。

しかしながら、本年のゴールド上昇の主要因はFRBの政策金利方針ではなく、中国人民銀行によるゴールド購入枠の拡大、及び中東情勢緊迫による安全資産の需要増加となっています。

先週末、イスラエル軍がガザ南部のラファを攻撃したことにより、安全資産の需要増加が継続する見通しです。中央銀行によるゴールド購入に関しては、米大統領選挙でトランプ氏が勝利した場合の米中関係悪化のリスクにより、米大統領選挙が近づくにつれて、中国人民銀行がゴールド購入量を増やす公算が大きいでしょう。したがって、緩やかなペースではあるものの、ゴールド価格が全面的な上昇トレンドを再開する可能性があります。