マーケットコメントー好調な米PMI指数からセンチメント低下、株価下落、米ドル上昇

投稿日: 2024年5月24日18時41分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・予想を上回る米PMI指数で米利下げ観測は後退
・米ドルは10日ぶりの最高値まで上昇、エヌビディアによる好調な決算も米株式市場は上昇できず
・金利の「より高く、より長く」維持が原油価格とゴールドの重荷に、

FRBによる利下げは11月の大統領選後か

FRBによる短期的な利下げを期待する投資家にとっては、今週は利下げ観測が年末まで先延ばしとなり、期待外れの週となりました。今週火曜日のFRBメンバーによるタカ派発言は、翌日の水曜日には、FOMC会合の議事要旨によって裏付けされました。しかし、木曜日には、米PMI速報値が予想を上回り、5月の企業活動と物価ともに堅調に推移していることが示されました。

米総合PMI指数は、製造業とサービス業両方が含まれており、2年ぶりに好調となりました。S&Pグローバルによるこの企業調査の最も懸念される側面は、雇用指数の軟化とともに、投入コストと生産コストの加速が見られたことです。

この米PMI指数によって、金利の「より高く、より長く」の見解が裏付けされ、アトランタ連銀ボスティック総裁も昨日、利下げは今年最後の3か月まで先延ばしされる可能性を示唆しました。

先週の米インフレレポートが減速したことで、米利下げは9月との期待が高まったばかりでした。しかし、9月での利下げは現在五分五分の確率と見られ、最初の利下げは11月までは実質上織り込まれておらず、米大統領選挙との折り合いから、11月のFRB会合はライブとはなりません。したがって、FRBが利下げに踏み切るのに確信が持てる12月での利下げが現実味を帯びてきました。

好調なエヌビディアの決算も株式市場は下落

各市場は、FRBによる利下げ時期後退への再度に渡る落胆に対応せざるを得ないのですが、最新の利下げ観測の先延ばしは、米株式市場にとって大きな打撃となりました。ダウジョーンズは1.50%以上下落し、ナスダックもセッション前半に最高値を更新した後、0.4%ほど急落して取引を終えました。

FRBの予想金利経路の見通しが不透明になるにつれ、市場の懸念材料となり、エヌビディアの決算報告で9.3%も上昇ラしたラリーでさえ、株式市場を押し上げることはできませんでした。エヌビディアの株価は、3ケタもの利益成長を発表した後、初めて1,000ドルを突破しました。

原油価格とゴールドは週次損失へ

米利下げ観測の後退は、今週の原油価格とゴールドにも大きな打撃となりました。

原油需要の見通しが楽観的とはならない中、6月初旬のOPEC会合にて、大幅な減産が推し進められる可能性がありますが、既存の割り当ての延長以上の合意は見込めないでしょう。

一方で、ゴールドの下落は、利益確定によって悪化した可能性がありますが、米国債利回りのさらなる回復が、ゴールドにとっては、大きな頭痛の種となり得ます。

米ドル上昇もユーロとポンドはサポート見つける

昨日の米ドルは、4セッション連続で上昇し、本日は若干緩和しています。ECBより注視されているユーロ圏9か国の交渉による賃金の伸びが予想以上に上昇したことで、ユーロはサポートされました。第1四半期の経済データによると、ドイツの1回限りのボーナスが影響を及ぼしましたが、ECBは、6月以降の追加利下げへの示唆には慎重となっているかもしれません。

昨日のポンドは、米ドルに対して下落しましたが、英小売売上高が予想を下回ったにもかかわらず、本日のポンドは上昇しました。イングランド銀行による6月での利下げは、英CPI指数が予想以上に上振れし、また7月の総選挙が発表されたことで、ほぼ可能性はないと見られており、11月までは完全に織り込まれていません。その結果、ここ数日間で米ドルが上昇する場合、ポンドもサポートされる可能性があります。