マーケットコメントー米ドルはFOMC議事要旨のタカ派内容で上昇

投稿日: 2024年5月23日18時29分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・米ドル上昇、ゴールドとビットコインは下落
・エヌビディアは好調な決算報告
・強弱まちまちの英CPI指数後、英早期選挙が決定
・ユーロ圏のPMI速報値もECBによる6月の利下げ観測は維持か

FOMC会合議事要旨公開で米ドル上昇

昨日公開された5月1日のFOMC会合議事要旨によると、当日、FRBパウエル議長示したよりも会合がタカ派的内容であったことが明らかになりました。特に、インフレの見通しに対するリスクが顕在化する場合、FOMCの様々なメンバーが、一段の政策引き締めに前向きであるとの内容があり、パウエル議長による利上げの可能性は低いとの発言と矛盾する内容となりました。

米ドルは主要通貨に対して上昇し、特に、本日はアトランタ連銀ボスティック総裁による講演の予定のみと、FRBメンバーによる講演も一層少なくなっています。本日後半に発表となる米失業保険申請件数とPMI調査が予想通りでサプライズを伴わない場合は、ボスティック総裁がこれまでの発言から大きく逸脱することはないと見られています。

ECBは6月での最初の利下げに備える

ドイツ連邦銀行が昨日、ドイツ経済は今年の第2四半期にて再び成長する見込みを明らかにしたため、市場は米国とユーロ圏との経済格差を意識し、6月でのECBによる利下げにカウントダウンが始まりました。

ECBメンバーによる発言は、6月の0.25%の利下げを明らかに示唆しており、市場も現在、89%の確率でこの利下げを織り込んでいます。しかし、タカ派は、市場が年末までに利下げが継続して織り込まれるのを必死に拒もうとしています。本日、5月のユーロ圏PMI速報値が予想を上回る場合、ECBの短期的な見通しが修正される可能性は低いものの、タカ派がECBの現在のアプローチである会合ごとに決定を行うとの姿勢を維持するべく、論拠に利用する可能性があります。

英総選挙は7月に実施

昨日の動向から判断すると、4月の重要な英インフレレポートを待ち望んでいたのは、市場だけではなかったようです。英スナク首相は昨日、英CPI総合指数の急減速に乗じて、7月4日の早期総選挙を発表しました。イギリスでの選挙は通常木曜日に行われ、今回は偶然にも、米国の独立記念日と同じ日となりました。面白いことに、7月での総選挙は、チャーチル首相導く保守党が大敗を喫した1945年以来となります。

これからの45日間、市場は、英国の次期政権の方針を吟味することになるでしょう。ポンドは、英CPI指数発表後の上昇を維持しましたが、焦点はおそらくイングランド銀行の方針となるでしょう。イングランド銀行は選挙結果に影響を及ぼすことを避け、次回会合の6月20日に利下げが実施される確率は、おそらくゼロに近いと見られます。8月1日の会合は、特に最新の経済予測が発表されることから、依然として「ライブ」となるでしょう。

ゴールドとビットコインは下落基調

新たなドル高と、日曜日のヘリコプター墜落事故を受けて、イランからの早急な対応の欠如から、ゴールドは下落しました。ゴールドにとって、1セッションで100ドルも動くことは通常ではなく、おそらく市場が過度に拡大していることが示唆されており、次の重要なサポートゾーンは、50日移動平均線の2,306ドルとなります。

同様に、ビットコインは、2セッション連続で下落していますが、週次のほとんどの利益を維持しています。この上昇は、米国証券取引委員会が最初のスポットイーサ上場投資信託(ETF)の承認をするとの憶測が一因となりました。