マーケットコメントーFRBの方向性が不透明で株式市場は警戒感、米ドル小幅上昇

投稿日: 2024年5月21日18時26分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・市場のリスク選好度後退の中、FOMC会合議事録を前にFRBメンバーによる警告続く
・FRBメンバーのタカ派発言と中東情勢の沈静化からコモディティは高値から後退
・米ドルは小幅上昇、スポットETF承認への期待からイーサは19%急騰

FRBメンバーによるタカ派発言続く

昨日からFRBメンバーのタカ派発言が続いたことで、市場では年内2回の利下げ予想が疑問視されています。先週の予想を下回った4月の米CPI指数と米小売売上高を受けて、市場は年内の合計利下げ幅を0.5%に織り込みました。しかし現在の市場予想は、0.42%辺りに縮小しており、米国債利回りを押し上げています。

先日はまた、FRBのジェファーソン副議長とバー副議長を含むメンバーが講演し、利上げの必要はないものの、利下げが差し迫っていると述べたメンバーはいませんでした。これまで年内に3回の利下げを予想していたクリーブランド連銀メスター総裁でさえ、自身の予想はもはや適切ではないと言及しました。

日本円、ユーロ、豪ドルともに下落、ポンドは上昇基調

米ドルは安定しており、ユーロと日本円に対して上昇しています。一方で、ポンドは1.27ドルを突破して上昇しました。明日の英CPI指数では、総合指数が急減速すると見られており、また、イングランド銀行のブロードべンド副総裁も昨日、夏の利下げの可能性を示唆し、ポンドが上昇している明確な要因は不透明です。

鈴木財務相からの再度の介入警告にもかかわらず、円安が進行しており、一方で、前回のオーストラリア準備銀行による政策会合の議事録が公開され、利上げについて議論があったものの、豪ドル上昇とはなりませんでした。オーストラリア準備銀行では、利上げの可能性は依然としてあるものの、さらなる引き締めには消極的に見えることから、豪ドルには下落という形で反映したのかもしれません。

NZ中銀の金利政策会合、FOMC会合議事録、カナダCPI指数に注目

明日は、ニュージーランド準備銀行による金利政策会合のため、NZドルが焦点となるでしょう。NZドルにとっては、最初の利下げのタイミングに関するヒントが重要となります。

明日はまた、前回のFOMC会合の議事録が公開となり、内容が予想外にタカ派となる場合は、市場が混乱する可能性があります。全体としては、議事録で予想外の見解が明らかとなる可能性は低く、焦点は引き続きFRBメンバーの発言となるでしょう。

これらの経済イベントに先立ち、カナダのCPI指数が発表となり、カナダ銀行は、利下げが差し迫っているECBとイングランド銀行の仲間入りをする可能性があります。

仮想通貨はラリーもコモディティと株価は苦戦

コモディティでは、FRBによる利下げ観測後退とドル高から、原油価格とゴールドが昨日の高値から後退しましたが、本日の銅は不安定なセッションで反発しました。

中東情勢の進展がないことから、原油価格の重荷となった可能性があります。イランとサウジアラビアの後継者に関する憶測は、この地域のエネルギー政策に影響を及ぼす可能性がありますが、市場が大きな反応を示すまでには、まだ時間がかかるでしょう。

FRBによる金利の「より高く、より長く」との見解の維持によって、米株式市場の強気派の抑制となり、軟調に推移しました。そうは言っても、昨日のナスダックは過去最高値を更新して取引を終了し、明日のエヌビディアによる決算報告に焦点が移っています。

仮想通貨では昨日、米国証券取引委員会(SEC)がイーサリアムのスポットETFの承認に近づいているとの報道を受けて、主要仮想通貨が上昇しました。今週にも決定されるかもしれないとの期待から、イーサは19%以上、ビットコインは7.7%も上昇しました。