マーケットコメントー米輸入物価指数加速で米ドル回復

投稿日: 2024年5月17日17時55分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・米輸入物価指数は過去2年間で最大の上昇示す
・市場は米利下げ観測を後退
・日銀の国債オペと植田総裁の発言で円安進行
・米株式市場は最高値更新後下落

米ドルはCPI指数後の下落分の一部を回収

昨日、4月の米輸入物価指数が前月比で0.9%上昇し、前年比でも0.4%から1.1%に上昇したことから、米ドルは回復し、本日も上昇を維持しています。

水曜日に発表された米CPI指数が減速を示したにもかかわらず、輸入価格指数が予想外に加速したことで、FRBによるインフレとの戦いはまだ終わっておわず、最終的には利下げ開始の時期を先延ばしにする可能性があるとの懸念が再燃しました。

9月での最初の0.25%の利下げは約90%とほぼ完全に織り込まれていますが、市場は昨日、年内の合計利下げ幅を0.51%から0.46%に縮小しました。

FRBのタカ派維持発言続く

米CPI指数が減速したにもかかわらず、今のところ、FRBの金利政策に変化がないことから、市場はFRBメンバーの発言によって、年内の合計利下げ幅を縮小した可能性があります。クリーブランド連銀メスター総裁は、自分の基本的な見解ではないものの、長期的なインフレ期待が再度上昇し始める場合は、FRBとしては、利上げも検討する必要があるかもしれないとまで発言しました。

本日は、FRBウォラー理事とサンフランシスコ連銀デーリー総裁が講演をする予定です。昨日のニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁とクリーブランド連銀メスター総裁とともに、ウォラー理事もデーリー総裁もFOMC会合にて今年投票権を持っているため、本日もFRBによる金利を「より高く、より長く」維持するとの見解が明らかになる場合、米ドルは多少上昇するかもしれません。

日銀の国債買い入れオペ後円安進行

昨日、円安が進行し、日銀が週明けに予想外に国債買い入れオペのオファー額を引き下げた後、本日のオペでも据え置きしたことで、円安はさらに進行しています。

日銀植田総裁が上場投資信託(ETF)を売却する予定は当面ないと発言したことと、日本の最新GDPにより、日本経済が予想以上に縮小したことが明らかになったこともあり、夏頃に日銀による利上げを期待していた一部の人々にとっては期待外れとなった可能性があります。

日銀による7月での追加利上げの確率は、依然として約78%を維持していますが、来週の国内CPI指数がさらに減速する場合、日本円にはさらに重荷となるかもしれません。

米株式市場は最高値更新、ゴールドは上昇を維持

昨日の米株式市場は、3指数全て最高値を更新した後、赤字で取引を終えました。米輸入物価指数の加速とFRBへの利下げ観測が再設定されたことで、株式トレーダーはポジションの一部を清算した可能性があります。

昨日のゴールドは後退しましたが、本日は回復しているようです。ここ最近、中東での緊張が再び高まっており、FRBが金利を「より高く、より長く」維持するとのスタンスを維持するとしても、ゴールドのトレンドが反転するのは難しいと言えます。ゴールドは、市場が年内の利下げを6回から2回に下方修正した時ですら、上昇トレンドを維持し続けました。