マーケットコメントー明日の米CPI指数を控え、市場でのレンジ取引続く

投稿日: 2024年5月14日18時06分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・米株式市場のラリーは一服も米ドルは若干回復
・本日は米PPI指数とFRB議長の講演に注目
・英雇用統計は強弱まちまちで英中銀の見通しは複雑に

米ドル回復も今月は未だに赤字

明日の重要な米CPI指数を控え、市場では、ほとんどの主要通貨ペアがレンジ取引となっています。昨日の米ドルは、ユーロに対して下落してスタートしましたが、本日は1.08ドル台を若干下回って取引されており、重要なレジスタンスゾーンに直面しています。米ドルは、日本円を除いては、全面的に下落基調で、今月前半は苦戦しています。

一方で、FOMC会合決定において、年内の利上げへの懸念がほぼ払拭されたことを受けて、株式市場には安堵感が広がっています。S&P500指数は最高値から1%未満の水準で取引されおり、米経済とユーロ圏の経済の乖離が明らかであるにもかかわらず、ユーロ圏の株式指数も引き続き最高値を更新して、米株式市場を凌いでいます。

本日は米PPI指数とFRBパウエル議長の講演に注目

本日は米生産者物価(PPI)指数が発表となります。総合指数とコア指数ともに、2022年の最高値から大幅に緩和していますが、コロナ前のレンジ上限に留まっています。こちらの指数も最近、小幅上昇しており、短期的なインフレ圧力の再燃が示唆されています。

月曜日に発表されたニューヨーク連銀による1年先のインフレ期待も3.0%から3.3%に上昇し、本日のPPI指数も上振れとなる場合、FRBのタカ派にとっては軽視できない状況となるかもしれません。市場は現在、6月での利下げを5%ほどに織り込み、9月での利下げについてはこの確率は大幅に上昇すると見ています。

明日の米CPI指数発表後は、FRBメンバーによる講演も相次ぎます。本日は、今年投票権を持つクック理事が講演する予定ですが、5月1日のFOMC会合決定からは、それほど逸脱はしない発言となる可能性があります。また、パウエル議長も、アムステルダムにてECBメンバーであるオランダ中銀クノット総裁とともに講演を行う予定で注目されます。

英雇用統計は依然として逼迫示す

イギリスでは、待望の4月の失業保険申請件数が発表となり、予想の増加よりも小幅となったことで、イングランド銀行のハト派にとっては期待外れとなったかもしれません。それ以上に、平均賃金の伸びは再び緩和することはなく、ボーナスを除いた実質賃金は15か月連続で6%に止まったままとなりました。多くの投資会社は、イングランド銀行による6月の利下げを支持しており、来週の英CPI指数が大幅に低下することを期待しています。

それまでの間は、イギリスでは政治動向が英中銀とポンドにとっては悩みの種となりそうです。地方選挙の結果は、保守党にとって、今年の国政選挙が敗北となる可能性が示唆され、保守党員からは英中銀に対して攻撃的な発言が続いています。最近では、保守党の重鎮がイングランド銀行の量的引き締め政策に対して非難を浴びせ、その独立性についても疑問を投げかけました。