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・ハト派姿勢のFRBからリスク選好度復活も本日の米雇用統計次第か
・アップル株の上昇で米株式市場にも週間で上昇の見込み
・2度目の覆面介入の疑いと米ドル後退で円高
米利上げへの懸念後退で市場に安堵感
今週の株式市場と為替市場は波乱となり、投資家としては本日は良い形で週を終えようと整えているようです。FRBパウエル議長は、タカ派とハト派を同時に対処するとの目標は達成したようです。FOMC会合を前に、市場は最悪のシナリオも予想していましたが、年内の利下げもますます困難になっている中、パウエル議長は利上げへの政策変更の可能性は低いと言及して、市場に安堵感を与えました。
FOMC会合決定後の議長の記者会見があった水曜日に、市場が年内の合計利下げ幅を若干縮小しただけにすぎず、米株式市場は動揺を見せました。しかし木曜日には、強弱まちまちの企業決算報告から本格的に回復しました。
S&P500とナスダックが今週の損失分を全て帳消しにするまでには、まだ道のりはありますが、アップルによる決算がその手助けをするかもしれません。アップルは、昨日の閉場後、iPhoneの販売が低迷して収益が減少したにもかかわらず、予想を上回る収益を報告しました。しかし、1,100億ドルの自社株買いの発表によって、時間外取引で株価が6%ほど上昇しました。
本日の米雇用統計で市場の楽観ムードの維持となるか
そうは言っても、本日はこの楽観ムードを沈ませる可能性のある重要な米経済データの発表があります。本日12:30(グリニッジ標準時)には、4月の米雇用統計が発表となり、FRBのハト派への転換のカギとなります。特に、米労働市場が賃金と物価上昇に拍車をかけることなく、驚異的なペースで雇用を生み出し続けることができるかどうかには、極めて疑問が残ります。
4月の非農業部門雇用者数は、3月の30万3千件に比べて、24万3千件増加、また、平均時給は前年比で4.0%に減速したと予想されています。特にパウエル議長が明らかに緩和バイアスを示した後、雇用者数が予想以上に増加したとしても、平均時給が加速すると、市場にはより大きな反応を引き起こす可能性があります。
パウエル議長が追加引き締めの可能性を検討することに消極的であることに疑問を投げかけるFRBのメンバーもいるかもしれません。シカゴ連銀グールスビー総裁とニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁は、それぞれ本日の市場取引終了後に講演が予定されています。
米ドル後退で日本円は週間で上昇へ
これに先立ち、米10年債利回りは先週4.70%を上回った6か月ぶりの高水準から、FOMC会合後には4.57%まで後退し、米ドルも下落しています。今週の月曜日に、日本政府による覆面介入によって円高となったことから、米ドルはすでに打撃を受けています。
水曜日には、2回目の介入疑惑が浮上し、FRBがFOMC会合でそれほどタカ派とならなかったこともあって、米ドルは一時的に153円台を下回り、日本円は週間で3.0%以上も上昇して週を終える見込みです。
鈴木財務相と日銀植田総裁は、本日13:45(グリニッジ標準時)に共同記者会見を行う予定です。来週の月曜日は日本とイギリスが祝日となり、為替の流動性に大きな影響を与えるため、再介入のリスクは依然として高まっています。