マーケットコメントー急速な円高は日本政府による介入か、今週は重要な経済データとイベント続く

投稿日: 2024年4月29日18時45分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・日本円は1ドル160円台突破後急速に回復、政府は介入についてはノーコメント
・米インフレ加速を示唆する経済データも米ドル下落、今週はFOMC決定と米雇用統計に注目
・好調な企業決算報告から米株式市場は続伸

日本円は1ドル160円台突破で急に回復、政府による介入か

先週の金曜日の米経済データが予想を上回ったことから、日本円に圧力がかかっており、円安は本日のアジアセッションにて、新たに34年ぶりの安値まで進行しました。ややタカ派となった日銀は先週の金曜日の政策会合にて、今後の債券買い入れが縮小されたにもかかわらず、次回の追加利上げについてのタイミングへの手掛かりを示唆しなかったため、日本円には既に打撃となっていました。

しかしながら、今回は投機的な売りが行き過ぎた感があり、円安が160円台を更新した直後、円は回復したことから、日本政府による介入があったのではとの推測が広がりました。

可能性としては、決定的な160円台で自動的にアルゴリズムが機能し、また本日は日本の祝日のため、流動性が希薄なこともあり、為替の動きが悪化したとも考えられますが、数時間後に再び円が回復したことから、介入の可能性が示唆されます。

神田財務官は、介入については「今はノーコメント」としていますが、そうは言っても、米ドルが5円も急落したことは、160円が日本政府にとっての介入基準で合ったことが示唆されます。

好調な米経済データも米ドル上昇は勢いを失う

ユーロも、171.42ドルと最高値を更新した後急落しました。一方で米ドルは全般的に小幅下落しています。本日の円高は、ドル高に重荷となっているのかもしれませんが、今週水曜日のFOMC会合による金利政策決定と金曜日の米雇用統計を控えて、市場は慎重となっている可能性もあります。

今週はまた、ISM製造業/非製造業PMIの発表など、一連の米経済データの発表もあり、忙しい週となりそうです。先週の第1四半期の米GDPが予想を大幅に下回ったものの、第1四半期PCEインフレレポートが加速したことで、米経済のスタグフレーションへの懸念が高まり、市場は一時的にパニックとなりました。しかし内訳では、米GDPはそれほど悲観する内容でなく、また3月の米個人消費が予想を上回ったことから、この見解は裏付けされました。

しかし、米コアPCE指数が2.8%と横ばいとなったことから、米インフレの粘着性があることには疑問の余地はありません。

FRBはおそらく、今週の会合にて、利下げを急ぐ必要がないことを強調するとみられ、パウエル議長が利上げを示唆する可能性もあるものの、市場は既に年内に1回のみの利下げを織り込んでいるため、サプライズの余地はほとんどありません。一方で、米雇用統計が予想を上回る場合、さらなる引き締めが焦点となり始める可能性もあります。

株式市場は上昇も原油価格とゴールドは下落

今のところ、米国債利回りは2日連続で低下しており、米株式市場は回復しています。マイクロソフトやアルファベットなどの好調な企業決算報告を受けて、S&P500は3週間ぶりに週次で上昇しました。明日も、アマゾンの決算報告が控えています。

今後の焦点は、中国のPMI指数とユーロ圏のGDPとCPI指数速報値となります。それまでは、市場は地政学上の懸念緩和が市場のムードを押し上げており、多少リスクオンとなっています。

イスラエルとハマスとの間での停戦交渉で、イスラエルがラファへの侵攻を止めるのではとの新たな期待から、本日の原油価格は下落しており、ゴールドも小幅下落しています。