マーケットコメントー日本円はさらに安値更新、本日の米GDPに注目

投稿日: 2024年4月25日17時45分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・明日に日銀政策会合決定を控え、日本円は34年ぶりの安値まで下落
・本日の米GDPとPCEデータに注目
・米株式市場は強弱まちまち、ゴールドは続落

明日の政策会合決定で日銀植田総裁はタカ派となるか

円相場は1ドル155円台まで値下がりし、34年ぶりの安値を更新しました。日銀による政策会合決定を明日に控え、市場はこの会合決定を固唾を飲んで見守ることになるでしょう。

植田総裁は最近、円安がインフレ加速を生む場合は、金利を引き上げる可能性があり、またある時点で大幅な債券購入を削減することもあり得ることに言及しました。2月の国内インフレは著しく加速し、3月は若干低下したものの、春闘での賃金交渉が33年ぶりの大幅な賃上げとなったことを鑑みると、追加利上げがいつ実施されるのかの手掛かりを探すことになるでしょう。現在、市場は6月での次の0.1%の利上げを予想しています。

しかし、日銀はタカ派への期待を裏切ってきた過去があり、金曜日の会合でもタカ派とならない場合は円安が進行し、おそらく介入への懸念が再発するでしょう。そうはいっても、政府関係者は、円安の動きが投機的でファンダメンタルズを反映しない場合は対応すると繰り返し警告していることから、もうしばらくの間介入まで様子を見る可能性もあります。実際、この円安がファンダメンタルズを反映しているためか、政府からの警告は最近一段落しています。

一方植田総裁は、2022年に黒田前総裁によるハト派的発言によって円安が進行して、政府が介入を余儀なくされた前例を避けたいと考えているかもしれません。したがって、明日の政策決定では、よりタカ派的なスタンスを取る可能性もあります。

今年はFRBによる利下げなしか

米ドルは日本円に対しては上昇しましたが、投資家が本日の米GDP速報値を前にロングポジションを開始するのに消極的だったためか、その他の主要通貨に対しては下落して取引されました。

米GDPは、前期比で3.4%から2.5%の低下したと予想されていますが、アトランタ連銀のGDPNowによると、2.7%の成長率と示唆されており、上振れとなる可能性があります。今週月曜日に発表されたS&Pグローバルによる購買担当者景況指数(PMI)が予想を下回ったことを受けて、米利下げ観測をさらに後退させる前に、堅調なGDP数値を確認する必要があるのかもしれません。GDP成長率が堅調となる場合、米ドルは回復する可能性があります。

米株式市場は安値で開場か、ゴールドは調整が続く

昨日の米株式市場は、本日の米GDPを前に投資家が慎重な姿勢を維持したことから、強弱まちまちとなりました。しかし閉場後に、メタが第1四半期にて予想以上に好調な業績を報告したにもかかわらず、収益ガイダンスが低調であったことから15%以上も株価が下落したため、本日の米株式市場開場時に下落するリスクが高まっています。大手ハイテク社による決算報告は本日も続き、マイクロソフトとアルファベットが予定されています。

地政学上の懸念緩和で投資家が安全資産のポジションを手放したことから、昨日のゴールドは小幅下落しました。しかしながら、中央銀行によるゴールド購入と中国からの需要が依然としてゴールドを支えており、見通しとしては引き続き明るいといえます。さらに、米利下げがたとえ先延ばしとなったとしても、FRBの次の動きは利下げであると予想されており、ゴールドにとっては前向きな動向となります。