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・ゴールドとスイスフラン、日本円と原油価格はイスラエルによる報復後に急上昇
・イスラエルによる報復措置が限定的と見られるため、その利益も限定的に
・ハイテク企業による期待外れの決算報告で株式市場はさらに下落へ
中東情勢悪化の中、各市場に警戒感広がる
イランへの報復の可能性について憶測が飛び交う中、昨夜イスラエルは、先週土曜日のミサイルとドローンによる攻撃に直接対応する形でイランへの反撃を開始しました。この報道を受けて、安全資産は上昇し、ゴールドは先週の最高値へ向かって上昇して一時1オンス2,400ドルを突破し、またスイスフランと日本円も軒並み上昇しました。
原油価格も上昇し、WTI原油とブレント原油は4.0%ほど急騰しています。しかし、イスラエルによる報復の詳細が明らかになるにつれ、イランでさえこの攻撃に過剰に反応しなかったため、パニックも緩和し始め、市場の動きは長続きしませんでした。
イスラエルはイランのイスファハン近郊の軍事施設にミサイル攻撃と行ったと見られており、イランはドローン3機と襲撃したと発表しました。イラクとシリアもまた標的であった可能性があります。
しかし、中東での紛争悪化へのリスクにもかかわらず、イラン政府は早急に報復する予定はないと述べており、各市場での地政学的緊張の緩和に多少役立ったようです。
決算シーズンと地政学、また米利下げ観測への懸念から株式市場下落
どうやら、米国とその同盟国がイスラエルに対して、先週の攻撃に過剰に反応しないように強力に圧力をかけたことがいくらかの影響があったようですが、またイラン側も全面戦争を避けようとしているようにも見えます。
この動きは、通常ならば投資家にとっては大きな安心材料となり得ますが、現在多くの問題に直面する市場にとっては、今週はリスク選好度が不足しています。
先日、FRBメンバーのタカ派的見解が新たに示され、年内での合計利下げ幅が0.4%まで引き下げられたため、株式市場は年内にたった1回の利下げの見通しに直面しています。
ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁は、ここ数日で利上げの可能性も示唆する2人目のFRBメンバーとなり、また、アトランタ連銀ボスティック総裁とミネアポリス連銀カシュカリ総裁は、年内の利下げに対して疑問を呈しました。
さらに、半導体企業による決算報告についても、需要の見通しへの懸念が高まっており、第1四半期の決算報告シーズンの開始と同時に収益見通しに影を落としています。ネットフリックスでさえ、驚異的な加入者数を誇るものの、投資家は第2四半期の収益見通しにそれほど感心した様子でもなく、株式市場のムードを高めることができませんでした。
昨日のS&P500は5セッション連続で下落して取引を終え、ナスダックは週間で5%以上の下落に直面しています。
円高の中、米ドル上昇は一段落
為替市場では、米ドルは安全資産としての恩恵を受けられませんでしたが、米国債利回りは恩恵を受け、利回りの低下が米ドルの重荷となった可能性があります。米ドルは最近、買われすぎの印象があるため、投資家が代わりにスイスフランや日本円に目を向けたのかもしれません。
しかしながら、本日の円高がどこまで安全資産からの流入なのか、または日銀による利上げ観測の高まりに起因するのかは不明です。
日銀の植田総裁は、ワシントンで開催されているG20サミットにて、記者団に対して、円安で輸入コストが上昇する場合、再び金利を引き上げる必要があるかもしれないと述べました。
本日のユーロとポンドは、米ドルに対して安定しており、ポンドは本日、予想を下回った英小売売上高に対してもほとんど反応していません。