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・米小売売上高は予想上回り、FRBによる利下げ観測はさらに後退
・米株式市場は下落、米国債利回り急上昇で米ドルも高値更新
・中国のGDPも3月の経済データは期待外れでほどほどのサポート
・円安さらに進行で介入への警戒感高まる
好調な米経済に生じる問題
市場が週末のイランによる攻撃に対するイスラエルの反応を待つ中、FRBによる利下げ観測が再び注目されています。具体的には、依然として好調な米経済が利下げ観測を後退させており、市場の懸念材料は米経済の例外主義を示唆する経済データです。
昨日の3月の米小売売上高は前月比で0.7%上昇し、予想の0.3%を上回り、また前月の数値も上方修正されました。
サンフランシスコ連銀デーリー総裁は、このデータ発表後最初に発言したFRBメンバーとなり、必要のない利下げを早急に行うことに対して警告を発しました。本日は、FRBパウエル議長が世界標準時間17:15に講演する予定で、注目となるでしょう。
ここ数週間で市場の利下げ観測は急速に後退し、年内3回の利下げを予想するFRBのドットプロットよりも下回っています。FF金利先物によると、現在年内の利下げを2回未満と織り込み、9月までは利下げは見込まれていません。
米株式市場は下落基調の中、米ドルは上昇
昨日の米ドルは、予想を上回る米小売売上高を受けて、主要通貨に対して5か月ぶりの高値まで上昇し、本日も続伸しています。
株式と債券は売りの圧力を受け、米10年債利回りは4.60%を突破して上昇し、米株式市場は急落しました。
これまで、大幅な利下げ観測の修正に抵抗してきた米株式市場は、強気市場にもようやく圧力の兆しが見え始め、強弱まちまちでスタートした決算報告とともに、今のところ支える材料となるものがそれほど見当たりません。
本日の決算報告はモーガンスタンレーとバンク・オブ・アメリカが焦点となるでしょう。
中国GDPデータは期待外れ
投資家は米利下げ観測後退の見通しだけでなく、中国経済の低迷も懸念しており、株式の売りは本日のアジア市場と欧州市場まで拡大しています。
中国の経済成長率は今年初めの3か月で前年比5.3%と小幅上昇しましたが、3月の鉱工業生産高と小売売上高が急激に鈍化したため、将来の経済成長に疑問が残る結果となりました。
介入への警戒感の中で円安進行、ゴールド後退
一方で、ドル高がゴールドの重荷となっています。中東での緊張が高まり、中東情勢はしばらくの間、極めて予断を許さない状態となっており、米ドル高がしばらくゴールドの足かせとなるでしょう。
イランの攻撃に対してイスラエルが報復することが確実視されているにもかかわらず、最新の地政学上のリスクから恩恵を受けていない安全資産は日本円となっています。投資家は、日本の利回りが米国の利回りにすぐには追いつかないと判断しており、円安は34年ぶりの水準まで進行し、現在ドル円は154円台となっています。
しかし、ドル円が155円に近づくにつれ、日本政府による介入のリスクは高まっています。そうは言っても、これまでのところ、政府関係者からは差し迫った介入への明確な兆候は見られていません。