マーケットコメントーイランによるイスラエル攻撃で市場に緊張感も影響は限定的

投稿日: 2024年4月15日18時12分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・イスラエルと同盟国がイランのミサイルとドローンを阻止し、市場は安定
・紛争悪化はないとの期待から株式市場は上昇、原油価格も下落
・ゴールドと米ドルは最高値近くまでの上昇を維持
・米小売売上高を前に円安は34年ぶりの安値更新

中東での紛争拡大の危険も市場は静寂な反応

週末のイランによるイスラエルに対する前例のない攻撃は、投資家がイスラエルによる反撃のリスクを控えめに扱ったことから、本日の市場は異例の静けさとなりました。シリアのイラン領事館へのイスラエルによる攻撃疑惑に対して、イランの対応が差し迫っていることへの警告は、先週の金曜日にすでに市場を警戒させていました。

原油先物とゴールドや米ドルといった安全資産は最高値を更新しましたが、米株式市場とビットコインは急落しました。

しかしながら、イランが発射した300発以上のミサイルとドローンは、イスラエルと米軍主導の同盟国によって、99%以上が撃墜することに成功したため、投資家はこれが現在の膠着状態の終焉となることを期待しています。さらに重要なことに、地域全体を危険な紛争に巻き込む恐れとなるイスラエルによる報復攻撃に対して、米国が支持しないと表明したことです。

イスラエルによる次の動きを待つ中、リスクオン

バイデン大統領のこの警告にイスラエルが従うかどうかは未定ですが、市場は既に判断したようにも見られ、急いで安全資産に逃避しているようには見られません。ゴールドは、先週金曜日の最高値からの後退後、本日小幅上昇し、一方米ドルは5か月半ぶりの高値を若干下回って取引されています。

先週金曜日の米株式市場での主要銀行の決算報告が予想ほど好調ではなかったにもかかわらず、本日の米株式先物はプラス圏からスタートしました。本日は、ゴールドマン・サックスによる決算報告が注目となるでしょう。

週末の中東での紛争拡大への懸念を示す唯一のパニックの兆しは、24時間無休で取引される仮想通貨市場に現れました。先週の土曜日、ビットコインは4.6%下落し、日曜日に回復しました。

イランによる攻撃も安堵感から原油価格への反応は限定的

イランによる猛攻撃が事前に予想されており、イスラエルと米国が防衛への行動に準備する時間があったことから、市場のこの攻撃への即時反応は安堵となったようです。原油先物でさえ、ほとんど動揺を見せず、本日の開場で小幅上昇した後、下落しました。

実際、米国とイギリスがロシアの銅とアルミニウム、そしてニッケルに対して新たに制裁を加えると発表した後、金属価格のボラティリティの方が高まりました。銅先物は1%以上上昇して取引されました。

円安さらに進行、FRB議長の講演にも注目

中東での全面戦争へのリスクが高まり、またFRBによる積極的な政策緩和への期待が後退している中、依然として市場が楽観的な見方をしていることは非常に不可解と言わざるを得ません。年内のFRBによる合計利下げ幅の予想は、先週の米CPI指数を受けて、0.50%以下まで低下しました。

米金利がしばらく高く維持されることへの予想から、日本円が打撃を受けており、円安は153円を突破して、34年ぶりの安値を更新しています。しかし、日本政府による警告は、介入が差し迫っていないことを示唆しています。

今週は火曜日に、FRBパウエル議長の講演が予定されており、市場は最初の利下げの時期についての手掛かりを求めることになるでしょう。その前に、本日米小売売上高の発表にも注目となるでしょう。