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・米ドル上昇は一段落もFRBの今後の方針予想は変更なし
・ECBは6月の利下げ示唆でユーロ続落
・円安進行で介入への警戒感高まる
・S&P500とナスダックは回復、ゴールドは最高値更新
FRBメンバーは利下げ急ぐ必要なしと発言
昨日の米ドルは、水曜日の米CPI指数を受けての上昇後、米PPI指数が予想を下回ったことから利益確定の動きとなったためか、他の主要通貨に対して下落しました。
そうは言っても、FRBの今後の方針に関して市場は見解を変えていないようで、FF金利先物は年内の合計利下げ幅を依然として0.43%を示していることからも裏付けされます。
この市場の見解は、FRBメンバーが金利政策を早急に緩和する必要はないと示唆したからかもしれません。ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁とリッチモンド連銀バーキン総裁はともに、目標達成に向けて大きな進展を遂げ、金利緩和政策に移行する必要はまだないと発言しました。
ボストン連銀コリンズ総裁もこの見解に同調し、堅調な労働市場が早急な緩和への必要性を低下させていると述べました。実際、先週の失業保険申請件数は予想以上に減少し、コリンズ総裁の見解を裏付けています。
ECBは利下げ間近示唆でユーロ続落
ユーロは、昨日の米ドル下落から恩恵を受けられなかった通貨の一つで、これはECBによる政策金利発表によるものと思われます。ECBは昨日、大方の予想通り金利を据え置きましたが、近いうちに利下げを開始することを明確にしました。
政策決定に伴う声明では、インフレが目標に近づくとの信頼感が高まれば、現在の制限的な政策の水準を引き下げることは適切かもしれないと表明しました。ラガルド総裁も、記者会見にて、インフレの減速には安堵感を感じており、数人のメンバーは、利下げを開始するのに十分であると感じていると述べました。
ラガルド総裁は、6月の利下げに関しては明確にしませんでしたが、記者会見から数時間後に、ECBの会合に近い3人の情報筋よると、6月に利下げに踏み切ることを予想しているとの報道がありました。
現在、FRBが9月に利下げ開始すると予想されている中、FRBとECBによる今後の政策方針予想の乖離は、引き続きユーロ/ドルの重荷となる可能性があり、おそらく昨年11月にサポートとなった1.0665辺りを下回るかもしれません。
鈴木財務相は新たな介入への警告でけん制
日本円も回復とはならず、鈴木財務相による過剰な円安進行への新たな警告にもかかわらず、ドル円は34年ぶりの高値を更新しました。鈴木財務相は、ドル円の水準を見ているのではないことを繰り返しましたが、高い緊張感を持って動きを見ていると付け加えました。
しかしながら、鈴木財務相は、米CPI指数を受けての動きが過剰となったことで、ドル円の買い手が引き続き市場に留まっているのかどうかについての明言は避けました。
株価回復、ゴールドはマイナス要因に反して上昇基調
米株式市場では、ダウ・ジョーンズは実質横ばいとなりましたが、S&P500とナスダックは黒字で取引を終え、特にナスダックは1.7%近く上昇しました。このことから、ハイテク関連株の上昇の勢いは引き続き高まっていることが示され、投資家は依然として将来のAI関連の成長機会を模索している可能性があります。
米CPI指数を受けて、利下げ観測が後退したことから、株式市場では清算の動きも見られましたが、昨日の米PPI指数は、CPI指数とは異なる状況を示唆したため、株式の新たな買いにつながったのかもしれません。
ゴールドのトレーダーもロングポジションを増やし、本日最高値を更新しています。ゴールドが早くも回復していることから、最近のゴールドの方向性は、FRBの将来の行動方針への期待が要因ではなく、中国からの需要の高まりと地政学的な不確実性が主な要因となっていることが裏付けされます。