マーケットコメントー好調な米雇用統計を受けて株価上昇

投稿日: 2024年4月8日18時25分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・非農業部門雇用者数は予想を上回り、米労働市場の堅調さを浮き彫りに
・米ドルは上昇維持できず、一方株式市場は上昇基調
・ゴールドは新最高値を更新で利回り上昇と地政学的リスク後退に逆らう

米労働市場は相変わらず好調

米経済は、労働市場が依然として本格稼働しており、引き続き好調のようです。3月の非農業部門雇用者数は30万3千件まで上昇し、予想を大幅に上回りました。また最も注目すべきは、労働参加率が高まるとともに、失業率が低下していることで、新たな労働者が市場に参入していることが示唆されていることです。

この米労働者数の持続的な増加には、移民の増加が主な要因となっているようで、賃金の伸びがそれほど加速していないことからも裏付けされます。

この状況は、FRBにとっては理想的な現状です、労働市場の雇用者数増加は、賃金上昇からのインフレ再加速のリスクとなり得ますが、労働市場への求職件数の増加は、経済成長の保護となり得ます。したがって、景気後退を回避しながら、インフレの抑制に務める世界中の中央銀行にとっては、理想のシナリオとなるのです。

堅調な米雇用統計を受けて、市場はFRBによる利下げ観測を後退させ、現在6月での利下げの確率は、ほぼ五分五分となっています。

米ドルは上昇を維持できず、株式市場は上昇

為替市場では、先週金曜日の米雇用統計を受けて、米ドルは上昇しましたが、閉場に近づくとともに下落し、上昇分は帳消しとなり、横ばいで取引を終えました。米ドルの突然の反転には、これといった要因はありませんでしたが、リスクセンチメントの変化によるものと見られます。

例え金利がもうしばらく高止まりするとしても、投資家は堅調な米労働市場が最終的に企業収益の増加となると判断したことから、株式市場は上昇しました。この楽観ムードによって、安全資産への需要に影響が見られ、米ドル上昇の抑制となりました。

株式市場は歴史的な高値で取引されており、債券利回りが上昇している中、バリュエーションも伸び続けており、企業決算シーズンが始まる今週、リスクは極めて高まっています。企業収益が予想通りにならない場合、利回りの上昇がバリュエーションを圧迫し始めることから、株式市場のラリーが後退する可能性があります。

原油価格は後退もゴールドは最高値更新

エネルギー市場では、中東での緊張がようやく緩和し始めるとの兆候から、今週の原油価格は赤字で始まりました。イスラエルとハマスの間での停戦交渉は継続しており、イスラエル外務相は本日、交渉はここ数か月で最も合意に近づいていると慎重ながらも前向きな姿勢を表しました。

一方で、停戦交渉の進展による環境でも、ゴールド価格には影響はなかったようで、本日新たに最高値を更新しています。中央銀行による保有量の増加とアジアでの個人購入への需要が、ゴールド価格上昇の主な要因となっているようで、利回りの上昇と地政学上の緊張の後退といったゴールドにとってはマイナスな影響に逆らって上昇しています。

今週の世界市場は、重要な指標とイベントが続きます。水曜日には米インフレレポート、また今週はECBやカナダ銀行、そしてニュージーランド準備銀行による金利政策会合が予定されており、多くの資産のボラティリティが高まる可能性があります。最も重要な経済イベントは、木曜日のECBによる金利政策会合で、夏の利下げに向けて可能性を示唆すると見られています。