マーケットコメント - 米FRBタカ派の発言、NFPを前に市場を不安に

投稿日: 2024年4月5日21時00分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 最新のFRB講演ではタカ派が優勢。株は下落、米ドルは反
  • 米雇用統計発表待ちの中、利下げ観測にほぼ変更な
  • 植田日銀総裁が追加利上げへの扉を開き、円上昇
  • 地政学的な緊張で原油は上昇幅拡大も、ゴールドは後退


米FRBメンバー、利下げを疑問

FRBがインフレ見通しへの警戒を強める中、年内の米利下げ時期とペースをめぐる新たな不透明感が、本日の市場の重しとなりました。 今週、年末3回の米利下の可能性に市場の厳しい視線が注がれており、好調な米3月ISM製造業PMIの発表後は疑問視されましたが、週半ばに発表された米3月ISMサービス業PMIの脆弱な結果でその懸念は薄らぎました。

パウエルFRB議長、及びFRBメンバーは、年内3回の利下げが実現可能であるとの見方を維持しているようでしたが、ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁を始め複数のFRBメンバーによる昨日の発言は、それほど楽観的ではなく、トーンが一変しました。カシュカリ氏は、インフレ率が横ばいで推移し続ければ、年内は金利を据え置く必要性を示唆しました。リッチモンド地区連銀のバーキン総裁とシカゴ地区連銀のグールズビー総裁も、インフレが正しい方向に向かっているのかについて、疑問を呈しました。

NFPに注目が集まる中、株価は下落、ドルは上

FRBメンバーのタカ派的な発言は、株式市場のセンチメントを悪化させて、米株式市場の主要3指数はすべて1%以上の下落で取引を終えました。一方、週初めのややハト派的な発言によって引き起こされた米ドル安には歯止めがかかりました。

しかしなが、利下げ期待が引き続き堅調だったため、米国債利回りはさらに抑制され、10年債利回りは小幅上昇に留まりました。投資家は依然として2024年に約70ベーシスポイントの利下げ幅を見込んでおり、FRBメンバーの最新の発言は、大幅な変更にはつながっていません。

GMT12時30分に発表される米3月雇用統計を前に、市場は神経質になっているようです。市場予想では、米3月非農業部門雇用者数(NFP)は20万人の増加、賃金上昇率は4.1%に鈍化するとされています。 NFPの数字が予想から大幅に外れないのであれば、株価が後半に反発し、ドルの下落が再開する可能性があります。

米ドルは反発するも、円相場は若干緩

しかしながら、米ドルが反発したにもかかわらず、中国経済の回復への楽観的な見方が強まる中、ユーロは堅調で、豪ドルの下落幅は最近の上昇分の僅か一部に留まりました。

一方、日銀は為替市場への口先介入を続け、いつもの警告を繰り返し、植田総裁も加わったため、円は急騰し、2週間ぶりの高値に達しました。

植田総裁は朝日新聞とのインタビューで、「輸入価格が上昇した場合、日銀は金融引き締めで対応せざるを得ない」と語りました。しかしながら、ドル/円が最近の狭いレンジ幅から抜け出す寸前にまでなったのは、将来の利上げの動きを示唆しています。植田総裁は「夏から秋にかけて」インフレが再び加速した場合、第4四半期にも追加利上げの可能性を示しました。

しかしながら、円は1ドル151.00円を超えて一時上昇した後、それほど時間をかけずに勢いを失いました。ドル/円の直近の取引価格は151.40円でした。

中東情勢の緊張で原油価格が上

中東情勢の緊張が高まる中、安全資産への需要も円高の一因となったようです。イスラエルが今週初め、シリアのイラン大使館への空爆を受けて、週末にイランがイスラエルへの報復する可能性を警告しました。

ここ数日、石油供給に新たな混乱が生じる脅威が原油価格を押し上げています。 WTI原油先物とブレント原油先物は、いずれも5か月ぶりの高値まで上昇しています。3月には、中国を含む世界の製造業が回復し、需要改善の兆しを受けて、原油価格がさらに上昇しました。

しかし、ゴールドは昨日、1オンスあたり2,305ドルの史上最高値に達した後、若干のドル高が利益確定を引き起こした可能性があり、本日は昨日に続いて売り圧力にさらされました。