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・FRBウォラー理事は利下げは急ぐ必要なしと発言
・6月の米利下げ観測は後退、米ドル上昇
・日本政府による介入警告強まり、日本円は回復基調
・米株式市場とゴールドは上昇
FRBウォラー理事が利下げを急ぐ必要なしと言及で米ドル上昇
昨日の米ドルは日本円を除いた主要通貨に対して小幅上昇し、本日も続伸しています。昨日は唯一、日本円に対してだけ下落しました。
昨日の米ドルは比較的落ち着いた形で取引が始まりましたが、米株式市場閉場後のFRBウォラー理事による発言で、米ドル上昇となりました。ウォラー理事は、最近のインフレの動向には失望を感じ、FRBは利下げを開始する前にしばらく待つ必要があるとの見解を明らかにしました。
この発言は、先週のFOMC会合後の記者会見でのパウエル議長の発言とは反するもので、パウエル議長は、最近の高インフレを示すデータは、物価圧力を緩やかに抑制しているとの見解には変わりなく、したがってFRBとしての予測を変更する理由はないと述べました。
ウォラー理事は利下げに関して見解を述べた初めてのFRBメンバーとなったことから、市場はこの意見を深刻に受け止め、予想金利経路を小幅ながら上方修正しました。FF金利先もによると、6月での最初の利下げの確率は約68%まで低下し、年内の合計利下げ幅0.75%となり、FRBの予想と再度一致しています。
明日の米コアPCEデフレータはFRBがインフレ測定に利用するデータということもあり、FRBの利下げ予想と米ドルの行方にとって注目となるでしょう。パウエル議長は既に最近のインフレデータがインフレの粘着性を示していてもFRBの予想を修正する必要はないと言及したものの、ウォラー理事の見解によって、明日のPCEデフレータはさらに重要となりました。
明日のデータによって、米インフレがさらに予想以上に粘着性があることが証明される場合、6月での利下げが後退する可能性もあり、その結果米ドル上昇となるかもしれません。
日本政府は本格的な介入に準備態勢
昨日、日銀と財務省、金融庁が円安に関する会合を開き、市場の投機的な動きに関しては介入をする準備があることを示唆したことから、日本円のサポートとなり、日本円は米ドル対して唯一上昇した通貨となりました。
この会合を前に、ドル/円は152円をやや下回ってもみ合って取引されていましたが、この会合後、151円まで下落しました。ドル/円は、その後多少回復しましたが、先週の日銀会合での要旨が発表され、超緩和的な金融政策からの脱却を段階的に廃止する必要性が強調されたことが明らかになったものの、ドル円相場には影響はありませんでした。
そうは言っても、円売りはドル/円が152円を突破して上昇することに消極的なようですが、明日の米PCEデータによって、米ドル上昇となる場合は、円安が進行する可能性があります。ドル/円が152円を突破して上昇する場合、政府による介入警告はさらに強まる可能性があります。
米株式市場は黒字、ゴールドも上昇
米株式市場では、3指数全てが黒字で取引を終え、ダウ・ジョーンズが最も上昇し、S&P500は新たに最高値を更新しました。ナスダックも上昇しましたが、2セッション連続で赤字で取引終えたエヌビディア株の下落に牽引され、上昇幅は3指数の中で最も小さいものとなりました。
明日の米PCEデフレータがさらに米インフレの粘着性を示唆する場合、米株式市場にとっては重荷となり得ますが、データ発表後の後退が、株式市場の長期的な下落につながる可能性は低いと言えます。もし利下げ観測が先送りとなったとしても、米金利の次の動きは利下げとなり、今後の四半期または数年のキャッシュフローを織り込んで評価される企業にとってはプラスとなることから、最近の動きから判断すると、投資家はAI関連の将来的な成長機会をさらに織り込むことに前向きであることが示唆されています。
昨日は、米ドルが回復したにもかかわらず、ゴールドも上昇しました。おそらく、世界の中央銀行が外貨購入の多様性を求めて、ゴールド保有量の増加を行っていることからと思われます。したがって、明日の米コアPCEデフレータが予想以上に加速してゴールドが下落するとしても、その下落は限定的で短命に終わる可能性があることを示唆しています。