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・円安は34年ぶりの水準まで進行で、政府は介入警告強める
・スイスフランも下落基調、堅調な米経済データ後米ドル回復へ
・ゴールドは最高値付近で安定、半導体株は株式市場の重荷に
円安は政府介入付近まで進行
日本円は1990年代以来の安値を一時的に更新したことから、日本政府は日本円を守るべく介入警告をさらに強め、市場には警戒感が広がっています。
ドル/円は現在、2022年に日本政府が介入を実施した水準である1ドル152円付近に近づいています。この動きに対して、鈴木財務相は警戒感を高め、外国為替での行き過ぎた動きに対して「断固たる対応」を取ると警告しました。
このフレーズは、鈴木財務相が2022年10月の介入前に使っていた言語と同じですが、実際の介入の前には、5%も円安が進行した事実があることにも注意するべきでしょう。したがって、これまで使われてきた言葉は、差し迫った介入を示唆するものではないことは、オプション市場の静寂さからも裏付けされます。
もちろん、過去の介入の例に従わず、直ちに介入を実施するリスクは常に控えています。それでも、今のところは介入となる可能性は低いように思われます。仮にドル/円が152円を突破しても政府が介入しない場合、チャートによると、155円辺りまで円安が進行することを止められる材料はないようです。
スイスフラン続落、米ドルは回復
為替市場にて、日本円の他にも下落している通貨はスイスフランです。今年、スイスフランは米ドルに対してすでに7%も下落しており、先週スイス国立銀行が予想外にも利下げを決定したことから、スイスフランは続落しています。
今回の利下げの他にも、スイス国立銀行による為替介入政策にもスイスフラン下落の一因があります。昨年、スイス国立銀行は、スイスフランの価値を押し上げて、輸入インフレを抑制するために、公開市場にてスイスフランを購入していました。しかし、インフレ率の低下している現在、もはや為替介入をする理由がありません。実際、スイス国立銀行がスイスフランの売り始めると、スイスフランは窮地に立たされる可能性があります。
スイス国立銀行のシュレーゲル副総裁は、本日発言する予定です。
一方で昨日の米ドルは、堅調な米経済データと米財務省による国債入札からいくらかの恩恵を受けて、それまでの損失を帳消しにして、ほぼ横ばいでセッションを終えて回復基調となりました。全体として、今週の主要通貨の取引は明確な方向性のないまま、不安定となっていますが、これは四半期末のフローを反映しているのかもしれません。
ゴールド安定、株価はやや下落
ゴールドは引き続き、最高値付近で横ばいで取引されています、ここ数週間、ゴールドは2,150ドルと2,200ドルの間での一時的なレンジ取引となっており、先週一時的に最高値を更新しました。
米国債利回りと米ドルが上昇は、通常ドル建てで利回りの発生しないゴールドにとっては不利な条件となりますが、今年はゴールドが堅調に上昇していることは注目すべきことです。ゴールドが流れに逆らって上昇している背景には、おそらく世界の中央銀行による購入があると思われます。
最後に、昨日の米株式市場は終盤に売りとなり、小幅下落で取引を終えました。特に下落したのはエヌビディア株で、その損失は状況の根本的な変化によるものではなく、おそらく利益確定から下落した可能性が高いです。
本日は、FRBウォラー理事がニューヨークの経済クラブにて、経済の見通しについて講演する予定で注目となるでしょう。