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・米経済データによりFRB利下げ観測後退で米ドル回復
・米株式市場とビットコインは下落、ウクライナによるドローン攻撃で原油価格上昇
・来週の日銀政策会合を前に利上げへの憶測行き交う
米経済データがインフレ加速示唆で米ドル上昇
米インフレが予想以上に加速したとの一連の経済データを受けて、FRBが来週のFOMC会合にて利下げについて先延ばしを示唆するのではとの憶測から、今週の米ドルは回復しています。
昨日の米小売売上高は期待外れとなりましたが、生産者物価(PPI)指数は加速しました。市場は需要軟化の見通しを材料視せず、消費者物価(CPI)指数が今週予想を上回ったこともあり、代わりにインフレの粘着性のリスクに注目したようです。
インフレをFRBの目標である2%まで低下させる最終段階が最も難題であるとの見方が強まっており、最近のエネルギー価格の上昇がこの懸念の中心となっています。
インフレが引き続き加速する中、来週のFOMC会合にて、新たなドットプロットが前回示唆された3回の利下げから2回の利下げとなる可能性があることから、米国債利回りは上昇し、米ドルもその恩恵から急騰しました。
株式市場は下落、原油価格は高騰
米小売売上高による消費者需要の低下と、生産者物価指数による粘着性のあるインフレ圧力はともに、株式にとっては危険な兆候であることが証明され、昨日の米株式市場は、小幅下落しました。
ビットコインもリスク選好の低下から打撃を受け、国債利回りの回復により、投資家が利益確定に動いたことから、昨日更新した最高値からおよそ8%下落しました。ゴールドにも影響を及ぼしましたが、特に今週の実質利回りの上昇を考慮すると、ゴールドの後退はかなり限定的だったため、抵抗力の兆しが見られました。
エネルギー市場では、国際エネルギー機関(IEA)が原油需要の予測を若干上方修正したことから、原油価格が昨年11月以来の最高値を更新しました。また、今週ウクライナがロシアの大規模製油所に対してドローン攻撃を行ったことから、原油価格の上昇にもなりました。
原油価格の上昇が続く場合、インフレがしばらく加速し続ける可能性があり、中央銀行による今夏での利下げ計画を複雑化することになり、エネルギー市場以外にも波及することになり得ます。その結果、特にバリュエーションが高騰している株式などのリスク資産の活況が鈍化する可能性があります。
日銀による利上げ観測も円安
日銀が来週の会合にて、マイナス金利からの脱却を計っているとの憶測にもかかわらず、世界的な債券利回りの復活によって、日本円は「為替市場の病人」となりました。
日本経済は景気後退を回避し、東京のインフレも加速し、また春闘での賃金交渉において明るい兆しが見られるなど、小幅利上げへの条件は整っているものの、トレーダーは依然として円の回復に対して消極的なようです。
結局のところ、市場の懸念は、日銀が利上げを実施するとしても、1回の利上げで終わることです。したがって、円の打撃となった金利差は大幅に縮小しておらず、日本円はキャリートレードにおける世界の主要な資金調達通貨となり続けています。
持続的な円高となるには、世界的に景気後退の懸念が再浮上し、他の中央銀行が大幅な利下げを余儀なくされる状況が必要となりますが、まだこの段階には至っていません。
来週は日銀やFRBを初め、5つの中央銀行による金利政策会合が予定されており、また多くの経済データの発表もあることから、非常に忙しい週となるでしょう。