マーケットコメント―本日は米生産者物価指数と米小売売上高に注目

投稿日: 2024年3月14日18時59分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・米CPI指数が予想を上回り、本日は米PPI指数と小売売上高に注目
・日銀による来週会合での利上げ観測は後退で円安
・S&P500とナスダックは下落、ゴールドは回復基調

本日の米経済データを前に米ドルは警戒ムード

昨日の米ドルは、ほとんどの主要通貨に対して下落し、スイスフランに対してのみ上昇し、日本円に対しては実質上横ばいとなりました。本日の米ドルは小幅上昇か横ばいで取引されています。

本日の米生産者物価(PPI)指数と小売売上高によって、FRBが金利政策をどのように進展させるのかもう少し明らかになる可能性があるため、市場はまた警戒感を高めているようです。火曜日に発表があった米CPI指数では、2月のインフレが予想以上に加速し、6月の最初の利下げ観測が後退しました。

FF金利先物によると、6月での0.25%の利下げは完全に織り込まれていましたが、現在はおよそ75%の確率に低下し、年内の合計利下げ幅もFRBの予測である0.75%とほぼ一致する0.79%まで低下しています。

本日のPPI指数によって、米インフレが以前の予想よりも粘着性があることを裏付け、小売売上高も予想よりも著しく回復する場合、6月での最初の利下げ観測が後退する可能性があり、その結果米ドルと米国債利回りはいくらか上昇するかもしれません。

しかし、本日の米経済データが予想よりも上振れとなったとしても、市場予想はFRBの予想金利経路とほぼ一致していることから、米ドルが長期的な上昇トレンドとなる可能性は低いでしょう。米ドルが上昇トレンドとなるには、来週のFRB政策会合にて、ドットプロットを上方修正する必要があるといえます。

来週の日銀会合での利上げ観測は後退

来週の日銀会合にて、マイナス金利からの脱却となる可能性が約40%まで低下し続けていることから、本日も円安となっています。先週は、日銀が早ければ3月の会合で利上げを実施するかもしれないとの報道を受けて、利上げの可能性は約50%でした。しかし、植田総裁は、日本経済は回復しているものの、依然として若干の弱さの兆しもあると発言し、この利上げ観測を押し戻しました。

これらの進展は来週の日銀会合での決定の重要な材料となりますが、春闘賃金交渉の結果が日銀の政策評価にとって重要な要因となるため、明日の連合による1次集計結果が市場の注目となるでしょう。先週、国内最大の労働組合である連合が、加盟団体のうち25組合が既に賃金要求の満額で回答していると発表したため、今年は大幅な賃上げの憶測が高まっています。

本日の米経済データを前に株式市場は下落、ゴールドは回復基調

米株式市場は、ダウ・ジョーンズはいくらか上昇しましたが、本日の米経済データと来週のFRB政策会合を前に、投資家が利益確定に動いたため、S&P500とハイテク株の多いナスダックは下落しました。

エヌビディア株は1.1%下落するなど、半導体株指数は2.5%下落したことから、AI関連株が依然として米株式市場を主導していることが示唆されます。米国防総省が、インテル社への最大25億ドルとなる半導体補助金計画を撤回したとの報道から、インテル株も4.4%下落しました。

これらの高成長のハイテク企業は、通常今後四半期または数年先の予想キャッシュフローを織り込んで評価されるため、金利が現在よりも長期間にわたって高止まりする可能性が示唆される場合、さらなる売りが促される可能性があります。

そうは言っても、金利に関する経済データやイベントとは別に、3月18日から21日まで開催されるエヌビディアのAIに関するグローバルカンファレンスGTCに投資家は注目することになるかもしれません。エヌビディアが市場が織り込んでいる将来の成長機会に対して確信している場合、金利関連の後退は限定的で短命に終わる可能性があります。

昨日のゴールドはドル安からの恩恵を受けて回復しました。本日の米経済データがFRBの利下げ観測の後退を確信させる場合は、ゴールドも下落する可能性があります。しかし、地政学的な緊張がゴールドのような安全資産への需要を維持しているため、下落したとしても単なる調整として扱われる可能性があります。