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・米ドル下落、本日の米雇用統計でさらに続落となるか
・円高進行、ECB政策決定後にユーロ上昇
・市場をまたぐラリー継続でゴールドと株価は最高値更新
本日の米雇用統計が重要なカギ
今週の世界市場は重要な経済イベントが続いており、本日は米雇用統計の発表となります。2月の米非農業部門雇用者数は20万件に上昇すると予想されており、前月を大幅に下回ってはいますが、全体としては堅調な件数といえます。また予想では、失業保険申請件数は安定し、賃金の伸びはいくらか勢いを失うと見られています。
重要なことは、非農業部門雇用者数と失業率は、異なる労働市場調査によるもので、しばらくの間は相反する結果となっていることに注意することです。非農業部門雇用者数は、ここ1年着実に増加していますが、家計調査によると、就業者数は同じ時期にほぼ停滞しています。
したがって、米労働市場は、表面上では堅調に見えても、いくつかの亀裂が見え始めています。投資家は、これらの調査が正しい現状を反映しているのかの手掛かりを探すことになるでしょう。
先行指標では、2月の労働市場は軟化したことを警告する指標もあります。ISM調査では、製造業と非製造業の雇用指数はともに縮小を示しており、S&Pグローバル購買担当者景気指数でも雇用創出のペースが減速しているなど、同様の結果となりました。そうはいっても、失業保険の申請件数は歴史的にも低い水準にとどまっており、大量解雇の兆候は見られません。
これら全てを鑑みて、本日の雇用統計は期待外れとなることが示唆されていますが、大きな失望とはならないでしょう。FRBが今年後期の利下げを示唆したことから、今週の米ドルは下落しており、労働市場が冷え込んでいるとのシグナルによって、米経済は他国よりも堅調であるように見えるにもかかわらず、さらに米ドル売りの圧力となる可能性があります。
日銀の利上げ観測で円高進行、ECB政策金利決定後ユーロ上昇
今週米ドルが下落した他の要因は、日銀による差し迫った利上げの憶測が再び再燃したことから円高となっていることです。
春闘での賃金交渉の暫定結果は、過去30年間で最大の賃上げが示されています。東京のインフレ加速とともに、市場は日銀が利上げを選択して、マイナス金利から脱却することにますます確信をもっており、今月の日銀会合にて利上げが実施される確率はほぼ50%と予想されています。
一方で、昨日の政策金利発表にて、ECBは4月での利下げの見通しを控えめに扱い、代わりに6月での利下げを示唆したことから、ユーロは上昇しました。今年のユーロ圏での経済成長とインフレ予測は減速しているにもかかわらず、ラガルド総裁は、利下げに転換する前に、特に賃金の伸びなど経済データが必要であることを強調しました。
そうは言っても、ユーロの上昇の大部分はドル安を反映しており、ユーロは日本円とポンドに対して下落しました。ポンドは特に株式市場の楽観ムードから恩恵を受けて上昇しました。
ゴールドと株価再び最高値更新
今年は、株式市場、債券市場、ゴールド、そしてビットコインと、市場をクロスして絶え間ないラリーが繰り広げられています。経済のソフトランディングと利下げへの期待に後押しされ、投資家は大々的に買いに促され、取り残されることへの不安から、ラリーはますます勢いが増幅しています。
ゴールドは本日すでに再び最高値を更新し、今月の上昇率は6%となりました。中央銀行によるゴールド購入と、ヘッジを求める中国消費者による需要、そして実質利回りの低下がゴールド上昇の背景にあります。
ゴールドは現在未知の領域で取引されていますが、次なる上昇への障壁となるのは、おそらく2,200ドルの心理的なゾーンとなるかもしれません。さらなる大きな試練は、2023年の5月から10月に下落したフィボナッチエクステンションである161.8%となる2,245ドル付近となる可能性もあります。
最後に、昨日の米株式市場は、特にエヌビディアが牽引する形で、再び最高値を更新しました。