マーケットコメント―FRB議長は議会証言で年内利下げ言及、本日はECBの政策金利発表

投稿日: 2024年3月7日19時22分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・FRBパウエル議長は年内の利下げは適切である可能性示唆
・日銀によるマイナス金利解除への憶測から円高進行
・カナダ銀行は政策会合で予想よりもハト派とは受け取られず、本日はECBの政策金利発表
・米株式市場は反発、ゴールドも最高値更新

FRB議長が利下げ観測を後押しで、米ドル続落

昨日の米ドルは主要通貨に対して下落幅を拡大し、豪ドルやNZドル、またカナダドルといったコモディティ連動通貨が上昇しました。本日の米ドルは依然として下落基調で、日本円が最も上昇しています。

米ISM製造業と非製造業PMIがともに米経済のパフォーマンスに疑問を投げかけたことで、米ドルは引き続き下方軌道となり、売り圧力を受けました。またFRBパウエル議長は昨日、米下院金融サービス委員会における証言で、経済が予想通り進展すれば、「今年のある時点で政策抑制の縮小を開始するのが適切である可能性がある」と述べました。

この発言は予想外ではなかったものの、パウエル議長が、前回の政策会合のように、市場による利下げ観測を明確に押し戻さなかったという事実は、利下げ開始が6月でも時期尚早かもしれないと信じ始めてきた人々にとっては、期待外れとなりました。

したがって、明日の米雇用統計は、いつ利下げが始まるのかを判断する材料となり得るため、ますます注目となるでしょう。FF金利先物によると、6月での0.25%の利下げは約85%の確率となっています。しかし、明日の雇用統計が堅調に推移し、賃金の伸びが予想を上回る場合、この確率は著しく低下する可能性があります。

日銀中川審議委員の発言で円高進行、本日はECBによる政策金利発表

日銀が今月の政策会合にて、マイナス金利の終焉を示唆するのではとの報道を受けて、日本円は昨日回復し、本日の新たな利上げに関する発言から円高が進行しました。

本日、日銀がマイナス金利を早期に解除することに承認の意を表する日銀のメンバー発言が新たに報じられました。中川審議委員は、日本経済は日銀の目標とする2%に向けて前進していると述べ、高田審議委員に同意する形となりました。その上、日本最大の労働組合である連合が、加盟組合のうち25組合が既に賃金要求の全額を満たしていると発表したことで、マイナス金利からの解除が間近である可能性が大幅に高まることになりました。

昨日のカナダドルは、カナダ銀行の政策金利決定からサポートを受けて上昇しました。カナダ銀行は大方の予想通り金利を据え置きましたが、決定に伴う声明とともに、マックレム総裁自身が、基調的な物価圧力に対して懸念を示し、利下げを検討する前にさらなる進展が必要であると述べました。

本日は、ECBによる政策金利発表が予定されています。ユーロ圏の経済は勢いを失い、インフレが減速しているにもかかわらず、今はECBは利下げを開始する時ではなく、利下げを早めることでインフレが加速するリスクがあることを繰りかえし指摘しています。市場は4月での利下げを完全に織り込んでいることから、ラガルド総裁とその他のメンバーが、市場に利下げを辛抱強く待つことを促す場合、ユーロはサポートを受ける可能性があります。

FRB議長の議会証言で株式市場は上昇、ゴールドは新たに最高値を更新

パウエル議長による議会証言によって、年内の利下げへの期待が高まったことから、米株式市場は3指数全て回復しました。しかし、明日の米雇用統計が堅調となり、市場が予想金利経路をいくらか上方修正する場合でも、株式市場の下落となるとは限りません。

反対に、米経済が引き続き好調である場合、株式市場は上昇する可能性があります。米ISMサービスPMIが予想を下回ったことを受けて、利下げ観測の高まりから、米株式市場3指数は上昇せずに下落しました。さらに、エヌビディアが昨日、史上最高値を更新したことで、市場に織り込まれるAI関連の将来的成長機会がある可能性が示唆されており、米株式市場が今後下落するとしても、限定的で短命となる可能性があります。

ゴールドは、引き続き上昇しており、本日はドル安と米国債利回りの低下からさらに恩恵を受けたのか、最高値を更新しました。しかし、ゴールドの上昇は、ドル安と利回りの低下からの反応としては不釣り合いに見え、明日の非農業部門雇用者数でドルが回復するとしても、ゴールドは依然として高い需要に支えられる可能性があることが示唆されています。