マーケットコメント―重要な経済データを前に米ドル下落、国内インフレ加速で円高

投稿日: 2024年2月27日20時07分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・今週の重要な米経済データを前に様子見、NZ中銀は明日金利政策決定
・国内インフレ加速で円高、ドル安からユーロは続伸
・株式市場の上昇は勢い失うもビットコインが急騰

米ドル続落も今週の重要な経済データを前に市場は様子見

本日の米ドルは、市場のFRBによる利下げ観測が引き続き後退しているにもかかわらず、他の主要通貨に対して、7セッション連続で下落しました。米経済のソフトランディングのシナリオには変更はありませんが、米CPI指数とPPI指数以来、新しい材料がないことから、他の主要通貨が上昇する中、米ドルは後退気味といえます。

しかし、今週の米経済データと世界各国のインフレレポートにより、このトレンドが変わる可能性があります。本日は耐久財受注と消費者信頼感指数、そして木曜日にはコアPCEデフレーターが焦点となります。

米利下げ観測は後退し続けるのか

FRBメンバーは早急な利下げを押し戻す発言を繰り返す中、FRBがインフレ測定に好んで利用するコアPCEデフレーターが上振れとなる場合、市場によるFRBの利下げ回数は、FRBの予想と一致する3回まで低下するか、またはそれ以下になる可能性があります。最近就任したカンザスシティ連銀シュミッド総裁は、月曜日の初講演にて、先手を打って利下げへの警告を言及しました。

今後数週間で、インフレが大幅に減速するか、米雇用統計の見通しが悪化しない限り、6月での利下げ開始についても、FRBは時期尚早と見るリスクがあります。しかし、市場はパニックとなる理由はなく、少なくても株式市場はまだ余裕があります。米国債利回りはここ最近徐々の上昇しており、金利の見通しへの警戒感が示唆されています。

特に2年債利回りは、昨年12月の水準まで上昇しており、昨日の入札では、5年債も追加されました。本日の米国債の入札は7年債が予定されています。

待望の円高へ

日本国内の2年債利回りも本日は焦点となっており、本日のインフレ加速を受けて、2011年以来最高値まで上昇しました。1月のコアCPI指数は前年比2.3%から2.0%まで低下し、予想の1.8%を上回りました。日本のインフレは根強い圧力の兆候を示しているようで、3月の日銀会合での利上げ観測も再び高まっています。

国内インフレレポートにより、本日の日本円は上昇し、1ドル150円20銭で安定しています。

ユーロは強気維持、豪ドルは明日ののCPI指数に注目、NZ中銀は明日政策決定

一方でユーロは、先週のユーロ圏のサービス業PMIが予想を大幅に上回ったことを受けて、ECBによる利下げ観測が再検討されている中、1.0850ドル辺りで上昇しました。ドイツ経済の低迷がしばらく継続すると見られる中、他のEU諸国による経済成長が加速される場合、ECBが利下げに急ぐ理由は減少するでしょう。しかし、金曜日のCPI指数速報値で、ユーロ圏の2月インフレ圧力が緩和する場合、ユーロへの潜在的な圧力となり得ます。

豪ドルは明日のCPI指数を前に、本日上昇基調ですが、明日のニュージーランド準備銀行による政策決定を控えて、利上げを疑問視する声がある中、NZドルは続落しました。明日の会合では、ニュージーランド準備銀行は金利を据え置くと見られていますが、引き締めバイアスは維持する可能性があります。

米株式市場のラリーは停滞気味もビットコインは急騰

株式市場では、S&P500が3日連続で続伸した後初めて下落したものの、米先物はわずかプラスとなっています。日経225指数は本日も上昇し、過去最高値を更新して取引を終えました。

ビットコインに牽引された仮想通貨のラリーも、2021年12月以来初めて、本日57,000ドルを一時的に突破しました。ETF承認後ビットコインの需要は急増しており、半減前の効果も最近の上昇の原因となっています。しかし昨日の急騰は、ビジネスインテリジェンス企業であるマイクロストラテジーが、1億5500万ドル相当のビットコインを購入したとの報道に起因しているようです。投資家はこの報道をビットコインへの新たな信頼と解釈したようです。