マーケットコメント―今週の重要な米経済データを前に米ドル上昇

投稿日: 2024年2月26日19時03分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・今週の米PCEデフレーターを前に米ドルは回復
・市場による米利下げ観測を引き続き後退
・NZ中銀の利上げ観測に変更なしもNZドルは下落
・米株式市場は勢い失う、市場の注目はFRBの今後の方針へ

今後の米ドルは今週のPCEコアデフレーター次第

先週の金曜日の米ドルは、ほとんどの主要通貨に対して何とか上昇しましたが、ポンドと豪ドル、そしてNZドルに対しては下落しました。本日の米ドルは上昇か、実質的に横ばいとなっており、特にNZドルに対して最も上昇しました。

先週末の米ドル上昇にはこれといった材料はなく、また本日も重要な経済データの発表はないことから、一部のトレーダーは、より魅力的なエントリーポイントとなる最新の調整により、新しいロングポジションを開始した可能性があります。

米インフレが予想よりも粘着性があることが証明され、また米経済が他国の経済よりも堅調に推移していることを考慮すると、先週の米ドル下落は、市場の見通しの変化ではなく、単なる利益確定の結果だったのかもしれません。FF金利先物によると、FRBによる合計利下げ幅が縮小していることからも、この見解は裏付けされます。市場は現在、年内に合計で0.85%の利下げを予想しており、6月での最初の0.25%の利下げ確率は約80%まで低下しました。

今週は、コア個人消費支出価格PCE指数やISM製造業購買担当者PMI指数などの米経済データが予定されており、これらのデータによって、米インフレが以前の予想よりも急速に減速しておらず、他国の経済が景気後退に既に陥っている中、米経済の堅調さを示し続ける場合、利下げ観測はさらに後退する可能性があります。

NZ中銀による政策決定を前にNZドル後退

ニュージーランド準備銀行による今後の方針について市場の観測に変更はないものの、本日最も下落した通貨はNZドルでした。水曜日の政策会合を前に、市場は依然として0.25%の利上げの確率を30%、5月での利上げについては約60%と予想しています。

市場によるニュージーランド中銀のタカ派姿勢への期待から、ここ最近のNZドルは上昇基調でしたが、今週の政策会合を控えて、利上げ確率が30%であることから、据え置きを決定した場合に下落するリスクが高まっているとも捉えられ、利益確定に動いた可能性があります。

しかし、ニュージーランド中銀がたとえ利上げを実施しないとしても、政策決定後のNZドル下落は限定的で、短期間となるかもしれません。ニュージーランドのインフレは、中銀の目標とする1%から3%の上限を大きく上回っており、政府としては、引き締めバイアスを維持する可能性があり、今後の会合における1回の利上げを期待して、市場はNZドルを買う可能性があります。

日本円は、引き続き1ドル150円50銭前後で取引されており、市場は明日の国内CPI指数の発表を前に様子見となっているのかもしれません。CPI指数がさらに減速となる場合は、日銀による今後数か月でのマイナス金利解除計画を困難にし、おそらく円への圧力となる可能性があります。

今四半期の決算シーズンも終わりに、米株式市場はFRBの今後に注目

米株式市場では、S&P500は金曜日に過去最高値を更新しました。おそらく、エヌビディアのによる驚異的な決算報告からの楽観的な見方が続いており、大手ハイテク株の市場価値が初めて、一時的に2兆ドルを超えました。しかし、その後勢いを失い、実質ほぼ横ばいで取引を終え、ハイテク株の多いナスダックは下落して終了しました。

このことから、今四半期の決算報告シーズンが終わりに近づくにつれ、市場参加者の関心が徐々に金融政策に戻りつつあることが示唆されています。FRBメンバーによる利下げ開始に早急に取り掛からないとの見解を裏付けるような経済データがある場合、株式市場の修正的な後退につながる可能性があります。