マーケットコメント―エヌビディアの好調な決算報告でハイテクラリー、ユーロの勢いは失速

投稿日: 2024年2月23日19時46分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・エヌビディアの好調な決算報告で株式市場は史上最高値更新
・ドイツ経済の見通し悪化でユーロは下落
・失業保険申請件数の減少で米ドル上昇、リスク連動通貨は上昇基調

ハイテク株急騰で株式市場は過去最高値更新

昨日の株式市場は、エヌビディアによる好調な決算報告を受けてハイテク株が急騰し、新たな最高値を更新しました。エヌビディアは、非常に高い水準に設定されていたアナリストたちの予想を大幅に上回る収益と売上高を達成し、期待以上に好調な決算報告を発表しました。

この結果、エヌビディア株は16%以上も上昇し、ハイテクセクター全体は過熱気味となり、S&P500も史上最高値を更新しました。たとえ経済がこの先低調になったとしても、AIブームが企業利益を守ると確信したことから、市場は次第にこのチャンスを掴もうと、驚異的なラリーを追走しました。

したがって、現在の環境では、大手ハイテク株や半導体株は特にあらゆる状況に対応できる万能な投資として見られています。しかし、全てのハイテク株が恩恵を受けた訳ではありませんでした。アップルとテスラの株は今年下落基調で、テスラは特に20%以上下落しています。

アップルとテスラは、より消費者志向と言え、AIを巡る競争からやや遅れているようにみられることから、投資家はエヌビディアやマイクロソフトといった企業ほど万能ではないと結論付けています。これは、ハイテクセクターでさえも、株式市場が二速で推移していることを裏付けています。

ドイツ経済への暗い見通しからユーロ下落

昨日の為替市場は不安定なセッションとなりました。セッションの序盤では、フランスの購買担当者景気指数(PMI)が改善したことから、ユーロは上昇しました。しかし、ドイツのPMI指数が低調となったことから、楽観的な見方が払拭され、ユーロの上昇分は帳消しとなりました。

ドイツの製造業は依然として低調なままとなり、ユーロ圏全体の経済が深刻な景気後退に陥るのではとの懸念となっています。世界貿易の減速とエネルギー価格の上昇が、輸出中心のドイツ経済には深刻な打撃となっており、また、ドイツ政府は憲法裁判所の決定から、支出削減を余儀なくされているため、状況はさらに悪化する可能性があります。

つまり、ドイツ経済は景気刺激策を切実としている状況にもかかわらず、、その代わりに緊張財政を強いられているといえます。この状況では、市場は今後の見通しに自信が持てません。実際、ECBは市場の予想よりも早い段階で大幅な利下げを行う状況となり、その結果、ユーロに大きな圧力となる可能性があります。

米ドル再び回復、リスク連動通貨は上昇基調

ユーロとは反対に、米ドルはセッションの初めに下落しましたが、後半ではその損失のほぼ全てを取り戻すことができました。米ドル上昇の背景には、週次失業保険申請件数の減少によって、労働市場が引き続き堅調であることが再確認されたことがあります。

米経済の堅調さを反映して、何人かのFRBメンバーは、利下げを急ぐ必要はないと主張しています。FRB全体としての見解は、利下げの可能性があるものの、おそらく夏以降となり、経済データの進展次第となります。

そうはいっても、米ドルはリスク連動通貨のほとんどに対しては下落しました。ポンドと豪ドル、そしてNZドルはともに株式市場での楽観ムードからの恩恵を受けて上昇しました。