マーケットコメント―FOMC会合議事録にて利下げへの警戒感が明らかに

投稿日: 2024年2月22日19時27分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・FOMC会合議事録では、早すぎる利下げへの懸念が明らかに
・米ドル続落も利下げ観測は後退
・NZ中銀への利上げ観測からNZドル続伸
・米株式市場は強弱まちまち、エヌビディアは予想を上回る決算報告

タカ派FOMC会合議事録も米ドル続落

昨日の米ドルは、日本円を除いた全ての主要通貨に対して下落しました。昨日も、NZドルが最も上昇した通貨となりました。

昨日公開されたFOMC前回会合の議事録では、FRBが早すぎる利下げのリスクを懸念していたことが明らかとなりましたが、米ドルは続落しました。おそらく、昨日の議事録では、前回会合と同じ見解となり、サプライズがなかったためと思われます。

市場は米ドルの新たなロングポジションを保有するほどではなかったものの、米国債利回りは上昇しました。FF金利先物によると、利下げ観測は若干後退しました。市場は現在、年末までの合計利下げ幅を0.90%から0.87%に小幅縮小させ、6月での0.25%の利下げは完全に織り込まれていたのに対して、90%ほどに低下させました。

市場が予想金利経路を上昇修正した背景には、リッチモンド連銀バーキン総裁の発言があるのかもしれません。バーキン総裁は、1月のインフレデータが今後のFRBによる決定を複雑にしたと言及し、季節調整による問題から、インフレデータが過度に重要視されていることに同意できないとも示唆しました。

本日の市場は、2月の米購買担当者景気PMI指数速報値が注目となるでしょう。製造業PMI指数とサービス業PMI指数はともに小幅低下が予想されており、雇用と物価がインフレにどう影響したのかについて手掛かりを求めて、投資家はサブインデックスを精査する可能性があります。

本日はFRBメンバーによる発言も予定されており、注目となるでしょう。ジェファーソン副議長、フィラデルフィア連銀ハーカー総裁、ミネアポリス連銀カシュカリ総裁、クック理事とウォラー理事による講演が予定されております。

NZ中銀への利上げ観測からNZドルは続伸

ニュージーランドは、1月の貿易黒字が拡大したにもかかわらず、ニュージーランド準備銀行による次回会合での0.25%の追加利上げ観測が高まり、NZドルは続伸しました。市場は、来週の会合での利上げの確率を25%から30%に上方修正し、5月での利上げについては、約60%まで上昇しました。

そうはいっても、来週の政策会合までNZドルが続伸となるには、明日のニュージーランドの第4四半期小売売上高が予想以上に好調となる必要があるでしょう。明日のデータが堅調でない場合は、期待外れの反応から、結果としてNZドルが顕著に下落する可能性があります。

本日は、ユーロ圏の2月PMI指数速報値が発表があり、製造業でのさらなる縮小が確認されたものの、サービス業では縮小領域から改善して50へ上昇したことが示されました。この指数によって、市場で特に反応がなかったのは、既にフランスとドイツのデータが公開されたいたからかもしれません。フランスのPMI指数が全て予想を上回ったことで、ユーロは上昇しましたが、ドイツのPMI指数が予想を大幅に下回ると、ユーロの上昇は反転となりました。

英PMI指数も本日発表され、製造業では何とか改善したものの、予想を下回って50以下の縮小を示唆しました。サービス業については安定しており、小幅低下との予想とは一致しませんでした。英総合PMI指数は、52.9から53.3まで改善し、イングランド銀行による利下げはFRBとECBの後となるとの市場観測は維持されました。

エヌビディア決算報告は予想を上回る、原油価格は地政学リスクから回復へ

昨日の米株式市場は強弱まちまちで取引を終え、S&P500とダウジョーンズは小幅上昇したものの、ナスダックは下落しました。そうはいっても、エヌビディアによる決算報告が予想を上回ったことから、時間外取引でエヌビディア株が上昇したため、本日は3指数全てがプラスで開場することが示唆されています。

エヌビディア株は決算報告を前に、ここ数日間おそらく投資家が利益確定に動いたことから下落基調でした。しかし、堅調な半導体需要から第1四半期の売上高が予想以上となるとの予測から、高成長のハイテク企業のバリュエーションが過大に伸びているにもかかわらず、投資家はAI関連の今後の成長機会を引き続き織り込む可能性があります。

エネルギー市場では、中東での地政学的緊張による原油供給の逼迫化への懸念が悪化したため、昨日の原油価格は回復しました。イスラエルはガザ地区への攻撃を強化し、紅海とバブ・エル・マンデブ海峡の商船に対するフーシ派の攻撃も、先週の金曜日以来4隻の船舶が攻撃されるなど、依然として続いています。

ゴールドもドル安と安全資産への需要の高まりから、続伸となっているようです。