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・米生産者物価指数加速も米ドルの上昇は維持できず
・株式市場はやや後退気味、エヌビディアの決算報告に注目
・地政学的懸念からゴールドは回復
米ドルはインフレ加速から恩恵受けられず
米経済は引き続き過熱気味です。一連の経済データは米経済の堅調さを示唆するだけでなく、労働市場も引き続き逼迫しており、市場が期待していたほど、インフレが早急に減速していないことも示唆されています。先週発表された1月の米消費者指数と生産者物価指数はともに予想以上に上昇し、このシナリオが再確認されました。
底固い経済と高止まりするインフレ率に直面して、市場はFRBによる利下げ観測を後退せざるを得ませんでした。最初の利下げは6月まで先延ばしされ、年内での利下げの回数も6回から4回以下に修正されました。
市場が金利の予想経路を「高金利を長時間維持する」方向に上方修正するとともに、米ドルは押し上げられ、今年最もパフォーマンスの高い通貨となりました。そうはいっても、米ドルの上昇はそれほど顕著ではなく、先週の予想外のインフレ上振れにもかかわらず、米ドルは殆ど上昇しなかったことからも裏付けされました。
この環境下で ドルの大幅な上昇を防いでいる要因の一つは、株式市場の明るいムードが安全資産への需要の低下となっているためです。したがって、現在特に米国以外の経済がテクニカルリセッションに陥っていることから、株式市場での調整が米ドルが上昇するために必要となる可能性があります。
株式市場はエヌビディアの決算報告に注目
米株式市場では、先週の米インフレの予想以上の加速で、利下げ観測が先延ばしとなったことで、いくらかの混乱に見舞われました。それにもかかわらず、この後退は深刻なものではなく、主要指数は過去最高値に近づいたままです。
米利下げ観測の後退と歴史的なバリュエーションの伸びにもかかわらず、今年の株式市場は、堅調に推移しています。しかしこのラリーは、AI関連の一部の大手ハイテク社により牽引されており、「伝統的な」従来の企業の銘柄は参加していないことに注意する必要があるでしょう。
したがって、株式市場は現在2つのスピードで動いていると言えます。投資家はAIからの収益により景気後退も乗り越えられると見られる企業を好み、景気のサイクルの変化に影響されやすい従来の企業銘柄や小規模株が犠牲となっています。
エヌビディアは、特に大手ハイテク株を先導しており、今年46%も急騰しました。今週の水曜日には、エヌビディアは四半期決算報告が控えており、さらに重要性が増大しています。エヌビディアがこのラリーを持続するためには、輝かしい決算報告を発表する必要があるでしょう。
本日の米市場は大統領の日により祝日のため休場です。
ゴールドは回復基調、水曜日のFOMC会議議事録に注目
先週のゴールドは、大きく変動しました。米CPI指数発表後ゴールドは急落しましたが、その後米ドルが下落したため、数日間は損失を回復できました。中東での緊張が継続する中、紅海での貨物船へのさらなる攻撃を受けて、安全資産のゴールドも恩恵を受けた可能性があります。
今週の重要なイベントは、水曜日に発表される前回のFOMC会合議事録となるでしょう。市場は、この議事録から、FRBによる最初の利下げへの手掛かりを探すことになるでしょう。前回の会合以来、FRBメンバーの何人かは、米経済の堅調さから利下げに急ぐことに警告を発しており、市場に忍耐強さを求めています。
水曜日の議事録が同じような見解を示す場合、米ドルは勢いをつけて上昇する可能性がありますが、その代わりゴールドにとってはマイナスに働く可能性があります。