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・シカゴ連銀総裁はインフレが多少高くてもFRBは整合的と言及
・米ドル下落、米小売売上高に注目
・英経済は景気後退に陥り、ポンドも下落
・日本は景気後退も為替介入への懸念から円高
シカゴ連銀総裁の発言で米ドル下落、本日の米小売売上高に注目
昨日の米ドルは予想を上回る米CPI指数を受けて、本日の米小売売上高を前に利益確定に動いたためか、1つの主要通貨を除いた全ての通貨に対して下落しました。
米CPI指数後の利益確定への動きは、シカゴ連銀グルースビー総裁の発言がきっかけとなった可能性があります。シカゴ連銀総裁は昨日、インフレがこれからの数か月でやや高くなったとしても、FRBの目標への道筋を整合するだろうと述べ、FRBが利下げを開始する前に慎重に様子を見極めるべきとの見解を明らかにしました。
そうはいっても、グールスビー総裁の発言の後、市場は利下げ観測を修正しませんでした。市場は依然として、6月での最初の0.25%の利下げを確信しており、年内での合計利下げ幅は約0.95%と織り込んでいます。
このことから、ここ最近の堅調な米経済データを受けて、市場は今後予想金利経路を下方修正ではなく、上方修正することが示唆されています。そのこと念頭に、本日の1月米小売売上高は特に注目となるかもしれません。
総合小売売上高は前月比で0.6%からマイナス0.2%に低下し、コア小売売上高も0.4%から0.2%に低下すると予想されています。これらの数字は米ドルの重荷となる可能性がありますが、堅調な米雇用統計と米CPI指数により、FRBによる今後の方向性への期待に大きな影響を与える可能性は低いと考えられます。一方、米小売売上高が上振れのサプライズとなる場合は、市場の予想金利経路がさらに上方修正されるかもしれません。
英経済は景気後退でポンド下落、為替介入への懸念から円高
昨日、米ドルが唯一下落しなかった通貨はポンドでした。昨日の英CPI指数によって、英インフレが予想ほど加速していなかったことが示唆され、ポンドは苦戦しました。
本日第4四半期の英GDPが前期比0.3%の縮小を示し、英国経済がテクニカルリセッションに陥ったことが確認されたことから、本日のポンドは引き続き下落基調です。この結果、市場はイングランド銀行が6月に利下げを開始する確率を50%から70%に引き上げました。英CPI指数とGDP数値の後、ポンドが一段落するには、明日の英小売売上高が比較的好調となる必要があるのかもしれません。
昨日の日本円は上昇し、本日のGDPによって日本経済は景気後退に陥ったことが確認された後も続伸しました。このGDP数値のよって、第4四半期の日本経済は、世界第3位の経済大国としての地位をドイツに奪われたことが明らかになりました。
しかし、市場はこれからの春闘での交渉と日銀からの政策に関する発言、そして日本政府による円相場の見通しをより重要視しているようです。神田財務官と鈴木財務相による為替介入の警告を受けて、市場は円の売りに消極的となった可能性があります。そうはいっても、ドル高によって、ドル/円は押し上げられ、政府による実際の介入への可能性は高まりつつあります。
米株式市場は回復、原油価格は下落
米ドル下落は米国債利回りの低下を伴い、その結果米株式市場は黒字となりました。配車プラットフォームのウーバーとリフトの株が急騰し、またエヌビディアはアルファベットを抜いて米株式市場での3番目に価値ある企業となったことから、ナスダックは最も上昇しました。
市場がFRBの予想金利経路を上昇修正し続けるとしても、株式市場の下落は次のラリー前の単なる調整にすぎないことが裏付けされました。米経済は全力で始動していることが経済データから確認されており、市場はAIに関する将来の成長機会を完全に織り込んでいないと見られていることから、S&P500は近いうちに新たな最高値を更新する可能性があります。
昨日の原油価格は米エネルギー情報局が米国の原油在庫が1200万バレル増量し、ロイターが調査したアナリスト予想の260万バレルを大きく上回ったことから、原油価格は反発しました。そうはいっても、中東での停戦交渉に突破口ができず、OPECプラスのメンバーであるカザフスタンとイラクが、合意された自主的減産量を超える過剰生産に対処すると言及したことから、原油価格の下落は限定的となる可能性があります。