マーケットコメント―堅調な米経済指標で米ドル上昇、ゴールド小幅下落

投稿日: 2024年2月6日19時30分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・好調な米ISM経済指標でゴールド小幅下落、米ドル上昇
・豪中銀政策決定と中国への大幅景気刺激策への期待から豪ドル上昇
・米株式市場は勢いを失うも史上最高値近くを維持

市場は米利下げ観測を再修正

昨日の好調な米経済指標を受けて、市場がFRBの利下げ観測を後退させたことから、昨日の米ドルは上昇しました。特に重要視されたのは、米ISM非製造業指数が力強い成長を示唆し、新規受注と雇用指数ともに大幅に改善したことです。

先週の堅調な米雇用統計に加えて、ISM企業調査では、FRBが今年利下げを急ぐ必要はないことを裏付けしました。米長期金利の上昇とともに米ドルは急騰し、他の主要通貨に対して、今年既に3%以上上昇しています。

一方米長期金利と米ドル上昇から、ドル建てで利回りの発生しないゴールドの需要低下となり、ゴールドが下落しました。そうはいっても、ゴールド下落はそれほど深刻ではなく、依然として史上最高値から5.5%ほど下回った水準で取引されています。

米利下げ観測の後退によるゴールドの売りへの圧力は、安全資産の流れと世界の中銀によるゴールド保有率増加から無効となり、深刻な下落を防いだようです。ゴールドの次なるトレンドの兆候は、2,000ドルを下回るか、2,065ドルを上回るかどちらかとなるでしょう。

豪中銀政策決定と中国経済への期待から豪ドル上昇

オーストラリアでは、オーストラリア準備銀行が、本日の金利政策会合にて、金利を据え置き、豪経済の成長が下方修正されたとしても、「追加利上げの可能性は排除できない」との見解を維持しました。豪ドルはこの決定を受けて上昇しましたが、ほとんどの利益はその後帳消しとなりました。

中国では、習近平国家主席が規制当局と市場の状況について会談するとの報道を受けて、大幅な景気刺激策の準備にかかるのではとの期待が豪ドルのサポートにもなりました。強力な刺激策への期待から、中国本土と香港の株式市場は3.5%以上上昇し、ここ最近の損失の大部分の補填となりました。

ここで疑問となるのは、この上昇が中国資産の真の好転への始まりとなるのか、または単なる一時的な回復で終わるのかということです。特に民会債務の水準が高いことで、政府による強力な景気刺激策を打ち出すことが制限されるため、中国不動産セクターの危機の継続と世界的な製造業活動の鈍化、そして、急速な出生率の低下といった問題は、解決するのが難しい課題となります。

エヌビディア株上昇で株式市場は安定

昨日の米株式市場は、米利下げ観測の後退と米長期金利の上昇が、米経済成長を巡る楽観ムードを抑え込み、小幅下落しました。この動きの背景は、主に不動産などの金利に敏感なセクターが起因となりました。テスラ株の急落も株式の売りとなりました。

今回もまた、下落する株式市場全体を支えたのはエヌビディアとなりました。エヌビディアは5%近く上昇して過去最高値を更新し、AI関連株を巡る急騰により収益成長が加速することへの期待で、今年既に株価が40%上昇しており、この驚くべきラリーは延長されています。

本日の経済イベントは控えめとなっています。クリーブランド連銀メスター総裁、ミネアポリス連銀カシュカリ総裁、そしてボストン連銀コリンズ総裁によるそれぞれの講演が焦点となるかもしれません。また、ニュージーランドの最新の雇用統計も注目となるでしょう。