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・FRBパウエル議長は3月での利下げは「基本のシナリオ」にないと言及
・米ドル上昇も米国債利回りは下落
・イングランド銀行は金利据え置きか、焦点はフォワード・ガイダンスに
・米株式市場下落、大手ハイテク社の決算報告に注目
FRBは予想よりもハト派とはならず、米ドル上昇
昨日の米ドルは、日本円とスイスフランを除いた主要通貨に対して上昇しました。日本円に対しては下落し、スイスフランに対しては実質上横ばいで取引を終えました。昨日最も下落した通貨は、豪ドルとカナダドルでした。
昨日の米ドル上昇の背景には、FOMC会合において、FRBが予想よりもハト派とならなかったことが要因かもしれません。FRBは金利を据え置くことを決定し、長年にわたる追加利上げの可能性への言及を取り除きました。しかし、インフレがFRBの目標である2%に向けて、持続的に推移しているとの確信がさらに強まるまで、利下げは適切ではないとの見解も明らかにしました。パウエル議長は、会合後の記者会見において、3月での利下げはFRBの「基本シナリオ」ではないと具体的に述べました。
これにより、市場は3月での利下げの確率を会合前の50%から35%まで引き下げました。現在、0.25%の利下げは5月に完全に織り込まれています。そうはいっても、年内の合計利下げ幅にはあまり影響はないようです。市場は12月までに合計で1.44%の利下げが行われると予想し、3月での利下げ予想もある中、市場による予想金利経路にはさらなる上振れの余地があることから、米ドルはさらに上昇する可能性もあります。
この上振れ調整とその結果の米ドル上昇は、明日の米雇用統計が予想を上回った場合に引き起こされる可能性があります。
円高進行、本日はイングランド銀行による政策金利決定
FOMC会合の前に米国債利回りが低下していなければ、FRB政策決定後に米ドルはさらに上昇していた可能性があります。米国債利回りの低下により、投資家はすでに株式を売り、債券を買うことでリスクエクスポージャーを減らしていたと思われます。これにより、日本円は米ドルに対して上昇し、ドル/円は一時146円を下回りましたが、パウエル議長による発言から米ドルはその後回復しました。
本日は、イングランド銀行による金利政策会合が予定されています。12月の前会合では、金利を据え置きましたが、イングランド銀行のメンバー3人は0.25%の利上げを支持していました。また、前会合での声明文では利下げ観測を押し戻し、ベイリー総裁も記者会見にて、この見解を繰り返しました。
12月の英インフレは予想以上に加速していますが、1月の英PMI指数は企業活動の改善が示唆されています。市場は依然として、年末までの合計1.07%ほどの利下げ幅を予想しており、最初の0.25%の利下げは6月になると予想しています。
FRBと同様に、イングランド銀行が市場の利下げ観測を押し戻す場合、イングランド銀行の予想金利経路は上振れ調整となる余地があります。たとえ、最新の英インフレ回復がベース効果の結果であったとしても、本日上振れとなるかもしれません。イギリスの経済成長は鈍化しているものの、最新のPMI指数の改善と依然として賃金の伸びが加速していることから、イングランド銀行は、もっとハト派なスタンスにシフトするまで、しばらくの間現在のスタンスを維持できるかもしれません。
したがって、イングランド銀行が利下げを検討するのは時期尚早であることを本日明確にし、特にメンバー内で再度利上げ支持の声がある場合、ポンド上昇のサポートとなる可能性があります。
ユーロ圏では、1月のインフレCPI指数の速報値が本日発表されます。ドイツのCPI指数が予想を大幅に下回ったことから、本日のユーロ圏のCPI指数は下振れとなるリスクがあります。
株式市場は大手ハイテク株「マグニフィセント・セブン」の決算報告に注目
昨日の米株式市場は、3指数全て赤字で取引を終えました。特にナスダックは2%以上下落しました。FOMC会合による金利政策決定を前に、アルファベットによる期待外れの決算報告を受けて、大手ハイテク株の下落に牽引されて、株価は既に下落し始めており、金利政策会合で株価の下落は決定的となりました。本日の閉場後、アップルとアマゾン、そしてメタによる決算報告が予定されており、投資家の注目となるでしょう。
FRBが3月での利下げを押し戻したことで、ゴールドも後退しましたが、米国債利回りの低下により、ゴールドは上昇していたことから、昨日は黒字で取引を終えることができました。