マーケットコメントー今週のFOMC会合の前に、好調な米経済データから株価と米ドルは安定

投稿日: 2024年1月29日20時24分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・好調な米経済データと中国の株式市場への対策強化で楽観ムード、株価上昇
・米経済のソフトランディングへの期待高まり、米ドルと長期金利は横ばい
・中東情勢の悪化で原油価格とゴールドは上昇

今週水曜日のFOMC会合決定に注目

今週の水曜日に予定されているFOMC会合決定と金曜日の米雇用統計の発表と忙しい一週間を控えて、リスクオンムードに警戒感が広まる中、本日の株式市場は強弱まちまちとなっています。先週の米経済データによると、インフレの減速が示唆され、米経済はソフトランディングへの期待が依然として維持されています。

先週の米コアPCE物価指数は予想を若干下回り、米経済での価格圧力が抑制されていることを裏付け、春の利下げ観測も維持されました。しかし、早くて3月での最初の0.25%の利下げについては、市場では意見が分かれています。したがって、水曜日のFOMC会合決定では、FRBによる声明文とその後のパウエル議長による記者会見での発言が、今後の方向性について手掛かりとなるかが焦点となります。

今のところ、経済データは利下げ観測をサポートしていますが、労働市場が依然として堅調に雇用を増加していることから、FRBとして慎重に取り組み必要があります。パウエル議長が市場の利下げへの期待を押し戻さず、期待を高める姿勢を示す場合、金曜日での米雇用統計が上振れすると、市場の期待が打ち砕かれることになります。

今週の大手ハイテク社による決算報告と中国経済が株式市場のリスクとなるか

金曜日の米株式市場は主要指数が強弱まちまちとなりましたが、3週間連続で上昇しました。ここ最近のAI関連株の急騰で株式市場全体のムードは前向きです。明日のマイクロソフトとアルファベットの決算報告、また木曜日のアップルとアマゾンの決算報告と大手ハイテク社の収益報告が続くことから、今週はこの強気トレンドが試されることになるでしょう。

また、中国政府による本日の株式市場強化への取り組みからセンチメントは改善しています。中国人民銀行が貸し手の預金準備率を引き下げ、政府も的を絞った刺激策の検討を約束したことから、中国の株式市場は先週上昇しました。しかし先週の金曜日には、このラリーも勢いを失い、最近の非公式な措置も株価の回復につながらなかったことから、政府当局は本日、株式の貸し出しによる「空売り」を全面的に禁止すると発表しました。

しかし、本日の中国政府によるこの動きでさえも、中国の不動産開発大手である中国恒大集団が香港にて清算申し立てを巡る審理が開かれることになったとのニュースによって影が薄くなっています。さらに、米国政府がマイクロソフトやアルファベット、そしてアマゾンといったクラウドサービスプロバイダーに対して、自社のプラットフォーム上でAIを開発している外国企業の名前開示を強制しようとしており、中国政府との関係悪化につながるのではとの懸念となっています。

中国のCSI300指数は、他のアジア諸国のトレンドとは反対に0.9%下落して取引を終え、一方、米国先物が横ばいで取引された中、欧州のほとんどの株氏引き指数は赤字となりました。

米ドルは堅調に推移もユーロは下落、ポンドは横ばい

一方で本日の米ドルは、他の主要通貨に対して小幅上昇しましたが、依然として、過去2週間での狭いレンジ内にとどまっています。テクニカル面では上昇への動きがサポートされており、レンジ範囲からの突破が差し迫っている可能性は高いです。

市場はECBが4月に利下げを開始すると確信しているため、ユーロは下落基調は続いています。ラガルド総裁は、先週の木曜日での政策会合後の記者会見にて、市場の利下げ観測を押し戻す発言を繰り返しましたが、夏以前の政策転換については完全に否定はしませんでした。今週のユーロ圏のGDPとCPI指数から、ユーロへの大きなサポートを受ける可能性も低いでしょう。

イギリスのインフレはここ数が月で急減速し、今年はさらに低下が見込まれるため、今週のイングランド銀行による政策会合でもハト派への転換となる可能性があります。イングランド銀行ベイリー総裁が、ラガルド総裁やパウエル議長のように利下げについて積極的に発言するとは考えられませんが、それでもタカ派発言をトーンダウンさせるかもしれません。ポンドは1.27ドル前後で横ばいで取引されています。

中東での緊張悪化で原油価格とゴールドは上昇

コモディティでは、週末に中東での緊張が再燃したことから、原油価格とゴールドが本日急騰しました。

シリアの国境付近のヨルダンにて、イランの支援を受ける過激派武装グループが実行したと思われる米軍基地へのドローン攻撃から米兵士3人が殺害され、数十人が負傷したため、中東での紛争の拡大化への懸念が広がっています。この攻撃は、金曜日に紅海を出港する石油タンカーを標的としたフーシ派のミサイル攻撃に続くものです。

原油先物は、3か月ぶりの高値に近づいた後下落しました。中東での一連の攻撃にもかかわらず、市場は当分は原油供給には大きな影響はないとみているようですが、一触即発の状況から、ゴールドなど安全資産の需要は支えられ、ゴールドは本日、0.5%上昇しました。