マーケットコメントー本日のECB政策会合決定に注目、テスラは期待外れの決算報告

投稿日: 2024年1月25日19時31分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・本日のECB政策決定を控えてユーロは横ばい、米ドルは本日の米GDP数値に注目
・堅調な米PMI指数から米利下げ観測後退でゴールドも下落
・テスラの決算報告は予想下回る、中国株は反発

本日のECB政策会合で利下げ観測は夏まで先送りか

本日の焦点は、ECBによる政策金利発表となるでしょう。市場によると、ECBは今回の政策会合では現状維持を決定すると予想しており、金融市場での反応はラガルド総裁の発言次第となる可能性があります。

何人かのECBメンバーは、差し迫った利下げ観測を押し返す発言をしており、市場が期待する通り4月での利下げ開始について、むしろ夏頃になると示唆しています。ECBとしては、緩和サイクルの開始を6月まで引き延ばすことで、賃金の伸びに関するデータを正確に把握でき、インフレが完全に抑制されたかどうかを判断することが可能になります。

もしECBが利下げ観測を押し戻し、市場に辛抱強さを求める場合、市場が最初の利下げ観測を夏に先送りすることで、ユーロは一時的に上昇するかもしれません。そうはいっても、ユーロ圏の経済成長が停滞していて、依然として景気後退のリスクがあるため、ユーロの持続的な上昇は想定し難く、本日のECBの政策決定によるユーロ上昇は限定的となる可能性があります。

米ドルとゴールドは本日の米GDP数値に注目

米国では、S&Pグローバルによる米PMI指数が全体的に前向きであったことから、米経済のソフトランディングへの期待が高まっています。米企業は、新規受注の増加から企業活動が大幅に加速しており、販売価格の上昇ペースも2020年のロックダウン以来最も弱いペースまで減速していることから、インフレ圧力も引き続き低下しています。

米経済への楽観姿勢が高まる中、米長期金利の上昇から恩恵を受けて、米ドルは一部の損失を取り戻して回復しました。米ドルにとっては、本日の米GDP数値が次なる試練となり、アトランタ連銀によるGDPNowの予想値が公式予想を上回っていることから、GDP数値も上振れの余地があります。

昨日のゴールドは、米長期金利の上昇から下落し、また、堅調な米PMI指数による安全資産への需要の低下を受けて、その価値の約1%を失いました。本日の米GDP数値が予想を上回り、特に失業保険申請件数が低下する場合、ゴールドにとってはさらなる打撃となる可能性があります。

そうはいっても、地政学上の不安定さと利下げ観測、そして最近の世界の中銀によるゴールド保有量増加といった要因から、ゴールドの見通しは明るいでしょう。したがって、1,975ドル台を上回ったゴールドの売りは、長期的投資家にとっては良いエントリーポイントを提供する機会と見なされるかもしれません。

テスラは期待外れの決算報告、中国株は回復へ

株式市場では、テスラの決算報告が売上高と利益ともに予想を下回ったことから、本日の市場前の取引でテスラ株が8%下落しました。中国の競合他社との価格競争によって、テスラの利益率は減少しており、株価の評価額が極端に割高となっていることから、予想を下回る決算報告は、多くの投資家にとっては現実を見直す機会となりました。

中国の株式市場は、ようやく市場の信頼回復のために政府が一連の刺激策を発表したことで、3セッション連続で上昇しています。最新情報によると、中国政府は株式を直接購入して市場の安定を目指しており、その総額は2兆元になるようです。それ以外にも、中国人民銀行は銀行準備金の大幅な削減を発表し、銀行システムに流動性を注入し、できれば経済成長の足掛かりとなることが期待されます。

最後に、カナダ銀行は昨日の政策会合にて今後の利下げへの可能性を示唆したことから、カナダドルは下落しました。