マーケットコメントー株式市場は史上最高値辺りまで上昇

投稿日: 2024年1月9日19時33分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・「ハイテクフィーバー」復活で株式市場は史上最高値に近づいて上昇
・原油価格とゴールドは下落基調
・ポンドと日本円は上昇基調

米株式市場はラリー再開へ

昨日の株式市場は、S&P500が先週の損失をほぼ帳消しするほどで、再度最高値辺りまで上昇するなど、勢いよくラリーを再開しました。このラリーを牽引しているのはエヌビディアで、AI関連の半導体開発発表後、株価は6.4%も急騰しました。

昨年株式市場を席巻した「ハイテクフィーバー」は今年も健在です。市場は、大手ハイテク社を安全なバランスシートと、ブームであるAI関連事業との関係により、世界的な経済停滞の中で企業利益を守る可能性があることから、より安全と見なし、大手ハイテク株に投資し続けています。

そうはいっても、これらの株式にもリスクは伴います。株式のバリュエーションは今年企業収益が増大するとの見通しから、歴史的に見てもかなり割高となっています。したがって、株価には米経済のソフトランディングのシナリオが完全に織り込まれており、これ以上の上昇は限定的となる可能性が示唆されます。

その他の注意点として考慮すべきイベントは、11月の大統領選です。大統領選前の数か月間は、結果の不確実性から投資家がリスクエクスポージャーの一部を保護するため、株式市場はアンダーパフォーマンスとなる傾向があります。明るい面としては、投票が終了すると、誰が大統領になるかはほぼ関係なく、市場が上昇を開始することがあります。

原油とゴールドは下落基調

原油価格は、ここ最近の不安定な中東情勢を背景に世界的に注目されています。中東での緊張にもかかわらず、市場が今年の原油の過剰供給と需要低下のバランスの不釣り合いを懸念し始めたことで、エネルギー価格は依然として下落し続けています。

米国の稼働中の石油施設が少ないまま、原油生産量が過去最高を記録していることから、サウジアラビアのような主要石油生産国がマーケットシェアを守るために原油生産量を増大したり、価格を割り引いたりするのではとの懸念が広まっています。原油を巡る価格戦争のリスクによって、しばらくの間、原油価格が下落となる可能性があります。

一方で昨日のゴールドは、明確な判断材料がないまま急落しました。米ドルと実質利回りの後退は通常ゴールドにとっては上昇の兆候となるため、ゴールドが下落したことは異例と言えます。もちろん、今年もまだ始まったばかりですが、急激な動きは大口の投資家のポジショニング調整を反映しているのかもしれません。

為替市場の動きは控えめ、ビットコインに注目

為替市場のムードは比較的穏やかです。主要通貨ペアは幅広い範囲で取引されていますが、特に方向性のないまま、ほとんどの場合始値付近で取引を終えています。

例外はポンドと日本円で、今週比較的上昇しています。ポンドは、株式市場のリスクオンのムードから、日本円は世界的な利回り低下から、それぞれ恩恵を受けています。

ビットコインも復活し、予想通りに米国規制当局によるスポット上場投資信託(ETF)が今週承認される前に、昨日20か月ぶりの高値まで上昇しました。昨年の仮想通貨ラリーの原動力となったこのETFへの関心は高く、規制当局が承認される場合、事実で売ることへの反応を引き起こすリスクが高まるでしょう。

本日は、重要な経済データの発表はなく、経済カレンダーは控えめとなっています。