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・好調な米雇用統計と軟調な米ISM非製造業景気指数で米ドルは方向性を失う
・サウジアラビアによる原油価格値下げにより原油価格下落、ゴールドも下落基調
・中国のシャドーバンキング大手の中植企業集団が破産申請で、他の銀行への波及懸念
米ドルは強弱混合の米経済指標から方向性に欠ける
先週金曜日の米経済データは、強弱まちまちの結果だったことから、米ドルと株式市場は明確な方向性に欠けました。明るいニュースとしては、米非農業部門雇用者数と賃金の伸びがともに予想を上回り、好調な12月の米雇用統計が示唆されたことです。
しかし、労働参加率が急低下したことで、労働環境が当初予想されていたよりは堅調ではないことへの警告となりました。また、米ISM非製造業景気指数も期待外れの結果となり、企業の雇用意欲の低迷と新規受注の鈍化が浮き彫りになりました。
米ドルは雇用統計直後上昇しましたが、次第に上昇の勢いがなくなり、最終的には横ばいで取引を終えました。株式市場も同様な動きを見せ、米株式市場はボラティリティの高いセッションとなり、取引開始時近辺で取引を終えました。
全体として、これらの経済データはFRBによる予想金利経路には実質的には影響はありませんでした。市場は好調な雇用統計と低調なISM非製造業景気指数を比較して、プラスマイナスゼロと判断したようです。これで、今週木曜日の米CPI指数がFRBによる大幅利下げのタイミングを計る指標となる可能性があり、さらに重要視されます。
ゴールドは上昇を維持できず、原油価格も下落
コモディティでは、先週の金曜日のゴールドは、米ドルと株式市場と同様な動きとなり、突然の予期せぬ動きの後、始値あたりで取引を終えました。しかし本日のゴールドは、米ドルと債券市場の小幅上昇を受けて、下落を再開しています。
ゴールドの短期的なパフォーマンスは、今週の米CPI指数次第となる可能性がありますが、長期的な観点からは、FRBによる利下げは時間の問題であることから、ファンダメンタルズの見通しは良好と言えます。また、世界の中央銀行のトレンドとして、ゴールド保有量が増加しており、ここ数年、地政学的環境が不安定となる場合、ゴールドの強気トレンドなる要因となります。
地政学では、先週イスラエルがハマス幹部殺害のために、レバノンの首都を攻撃したことから、中東情勢の悪化への懸念となっています。この懸念から原油価格は上昇しましたが、サウジアラビアが原油販売価格を値下げしたことを受けて、中東情勢への懸念からの原油価格の上昇は限定的となりました。
主要産油国であるサウジアラビアが値下げを決定した背景には、需要環境の悪化への懸念か、米国などの外国産油国が市場のシェアを奪うのを阻止することへの試みのどちらかと捉えられます。いずれにせよ、エネルギー価格は暗い見通しとなっています。
シャドーバンク大手の破産申請で中国株式市場下落
先週の金曜日に、中国のシャドーバンキング大手が破産申請を行ったことで、中国の不動産市場の危機が不透明な融資業界にも波及し始めていることが明らかになりました。市場は、中植企業集団が流動性の問題を抱えていることを認識していましたが、破産のニュースによって、本日は中国の株式市場は下落基調となっています。
中植企業集団の破産申告によって、隠れたリスクが潜む金融システムにおいて、不動産市場の安定と民会債務水準の抑制を試みる中国政府が直面する難題が浮き彫りになっています。
最後に、米上下両院の与野党指導部が支出合意に達したことで、今月末の政府機関の一部閉鎖の可能性が低くなりました。とはいえ、この協定は、これから連邦議会の両院を通過して、バイデン大統領によって署名される必要があります。