マーケットコメントー米ドルは回復の兆し、今年の原油価格は下落で終える

投稿日: 2023年12月29日19時31分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・堅調な米労働市場に支えられ米ドルは回復の兆し
・原油の過剰供給への懸念から原油価格は下落基調
・クリスマス休暇での流動性不足でボラティリティ高まる

米ドルは回復への兆しも

米ドルは、FRBが来年に大幅な利下げを開始するとの市場の見解から、主要通貨に対して約3%の損失で年を終える見通しのようです。

インフレ率が急激に減速した現在、金融政策が過度に制限的になっているとの根拠の下、市場は来年のFRBによる利下げを6回と予想しています。エネルギー価格の低下と今後数か月でインフレがさらに減速すると見込まれることから、投資家はFRBが目標を達成したと考えているようです。

来週の最新の米雇用統計によって、この見方が裏付けられるでしょう。FRBがインフレとの戦いへの勝利を宣言するには、米労働市場が軟化する必要がありますが、まだこの兆候は見られないようです。12月の失業保険申請件数は、極めて低い水準だったことが昨日確認され、また米経済では大量解雇の兆候はありませんでした。

来週の堅調な米雇用統計への憶測は、 昨日の失業保険申請件数を受けて米ドルの上昇の支えとなり、堅調な労働市場が市場予想であるFRBの利下げ観測を先延ばしとなる可能性があります。

原油価格は小幅下落

コモディティでは、原油価格が昨日、下落を再開し、約10%下落して今年を終える見込みです。OPECプラスによる減産と紅海での地政学的な不安定な状況を以ってしても、原油価格上昇を継続させるには十分ではなかったようです。

代わりに、市場は来年の原油市場での供給過剰と需要不足のリスクに注目し始めています。OPECプラスが繰り返し減産を発表して、原油価格のサポートを試みていますが、米国が自国の生産を増大しており、マーケットシェアを米国に奪われることから、この戦略が長く続く可能性は低いでしょう。

したがって、OPECプラスがエネルギー市場を安定させる中心勢力である時代も終わりが近づきつつあり、2020年初頭と同様の価格競争が再び起こる可能性もあります。特にマクロ経済環境の悪化により来年の需要が低下する場合、過剰供給は原油価格にとって多大な打撃となり得ます。

流動性のギャップに注意

その他、クリスマス休暇での流動性不足が市場の課題となっています。多くの投資家とファンドマネージャーは仕事納めで休暇中のため、流動性が低下しています。

流動性が不足すると、金融市場はこれといったニュースなしに変動することがあります。また、何かのニュースがある場合、市場への影響は通常よりも大きくなる可能性があります。したがって、流動性不足の環境下では、特にニュースがある場合、市場のボラティリティが増幅されることがあります。

この現象によって、流動性が完全に復活すると、市場の動きが継続しなくなる可能性がありことから、投資家は年明けの動きにあまり重要視しない傾向があります。

今後の見通しとしては、中国が週末に最新の経済データを発表する予定で、予想外の結果となる場合、中国の動向に敏感な豪ドルやNZドルが、来週月曜日に価格差で開始する可能性があります。

良いお年をお迎えください。新年も何卒よろしくお願いいたします。