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・日銀は政策転換の時期を明確にせず現状維持決定で円安進行
・紅海でのミサイル攻撃から原油供給への懸念の中、原油先物は急騰した後一服
・米利下げ観測後退も米株式市場は上昇基調
日銀は現状維持決定で早期利上げ観測に冷や水
日銀は本日の政策会合において現状維持を発表し、今年の主要中央銀行による最後の政策決定を締めくくりました。今回の会合を前に、現状の超緩和政策を修正するのではとの憶測が広がりましたが、今回の決定にサプライズはありませんでした。
今回の日銀の決定は、何らかの政策変更を期待していた投資家にとっては期待外れとなったばかりか、植田総裁は来年1月での利上げの可能性についても消極的であると捉えられたようです。植田総裁は来年の春闘に焦点を置いており、そのため、来年4月以前の政策修正の可能性は低いと思われます。
植田総裁はまた、インフレが持続可能な形で目標に近づくことに確信はしていないが、需要主導のインフレがより明白になりつつあるとも述べました。
日銀は、マイナス金利解除やイールドカーブ・コントロール政策撤回の時期ついて、明確なシグナルを示さなかったことから、市場では円の売りとなり、ここ最近での利益の一部を帳消しにしました。
米ドルは1週間ぶりの高値となる144円50銭を超え、ユーロ、ポンド、そして豪ドルも1.5%以上上昇しました。
紅海での攻撃から原油価格は変動
原油供給の混乱への懸念から、昨日の原油先物は上昇し、日中反転は一時5%近くまで上昇しました。イランが支援するフーシ派反政府勢力は、紅海を通過するイスラエルに関連する貨物船や石油タンカーに対して、ドローンやミサイル攻撃を行っています。この攻撃は、ガザ地区へのイスラエルの攻撃に対する反撃と見られています。
今までのところ、市場にはこのフーシ派による攻撃の影響はありませんでしたが、石油大手のBPが紅海でのタンカー運航を停止すると発表したことから、原油の世界供給が混乱するとの一時的なパニックを引き起こしました。
しかし、米軍艦が既にこの攻撃に反撃するためにこの地域で待機しており、市場はこれ以上の状況の深刻化には懸念していないようで、原油価格は本日、2週間ぶりの高値となった昨日よりも緩和して落ち着いているようです。
FRBの利下げ観測押し戻しも米株価は最高値更新まで上昇
エネルギー価格上昇のリスクから、昨日米長期金利は小幅上昇しましたが、株式市場はこれらの懸念を完全に払拭したようです。
S&P500は昨日、今年最高値を更新し、2022年1月以来の史上最高値に近づいて上昇しています。ナスダック100も2021年11月の日中最高値の突破まではいきませんが、上昇して過去最高の終値で取引を終えました。
ここ数日、FRBメンバーは、差し迫った利下げへの期待を押し戻す発言を繰り返しています。クリーブランド連銀メスター総裁、サンフランシスコ連銀デーリー総裁、そしてシカゴ連銀グールスビー総裁は、市場による予測金利経路に不賛成の意思を示しており、メスター総裁は特に、利下げ時期について金融市場は「やや先走りしている」と述べました。
しかしながら、メスター総裁の発言に市場は相変わらず耳を貸していないようで、市場は来年の利下げ幅を若干縮小されたものの、利下げ回数については、FRBの予測よりも2.5回多く行うと予想しています。
本日も、FRBからはリッチモンド連銀バーキン総裁とアトランタ連銀ボスティック総裁が発言する予定です。
米ドル下落、ユーロとポンドは上昇
為替市場では、米ドルは円に対しては力強く上昇していますが、ユーロとポンドが本日反発して上昇していることから、他の主要通貨に対して小幅下落しました。
イングランド銀行のブロードベント副総裁は昨日、利下げを検討する前に、イギリスの賃金の伸びが持続的に減速する必要があることを示唆したことから、ポンドは上昇しました。
一方、カナダドルは、本日のカナダCPI指数の発表を前に、ほとんど変化がありませんでした。