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・FRBはようやく利下げ言及でハト派に転換、市場は大歓迎
・ダウ・ジョーンズは史上最高値を更新、S&P500も過去最高値に迫る勢い
・米長期金利低下で米ドル急落、ゴールドは上昇
・スイス国立銀行も金利据え置き、まもなく英中銀の政策金利決定
FRB議長は市場の利下げへの期待に応える
昨日、FRBはFOMCにて予想通り政策金利の据え置きを決定しました。発表に伴い、FRBは予想以上にハト派を打ち出し、債券市場と株式市場の急激なラリーを引き起こしました。パウエル議長は、これまでの姿勢から大きく転換し、改正されたドットプロットでFOMCメンバーはもはや利上げを想定していないことを挙げ、「十分な措置を講じたと考えているということだ」と言及しました。
パウエル議長は今後の引き締めを完全に否定しませんでしたが、声明では、いかなる追加的な金融政策の引き締めの程度を決定する際に、経済と金融の動向を考慮すると表明し、「いかなる」との言語を追加しました。議長は記者会見でも、利上げはもはやFRBの基本シナリオにはないとも述べ、市場の期待に沿う形となりました。
今週の米消費者物価(CPI)指数と生産者物価(PPI)指数がともに減速したことで、FRBとしても、政策上これ以上の調整は必要なしと確信したようです。パウエル議長はまた、これらの経済指数発表後に、何人かのメンバーはドットプロットの予測を修正したとまで示唆しました。
先週金曜日の米雇用統計がわずかに予想を上回ったことを受けて、FRBによるハト派転換を疑問視する声が上がっていました。しかし議長は、今回初めて利下げが「視野にある」ことを言及し、これは、来年のドットプロットに合計0.75%の利下げ幅が織り込まれていることからも明らかです。この利下げ幅は、以前のドットプロットよりも0.25%拡大したことになります。
このFRBのドットプロットは、昨日のFOMC会合前の、市場予想による1.0%から1.25%の利下げ幅よりは縮小しますが、今のところ、市場はFRBのハト派転換には大歓迎のようで、今後12か月でおよそ1.5%もの利下げを織り込んでいます。
米株式市場には早いクリスマスラリーの訪れ
FRBによるハト派転換を待ち望んでいた株式市場は、この動きを大歓迎し、米株式市場は急上昇しました。経済成長が鈍化する中、インフレは抑制されつつありますが、労働市場はいまだに落ち込んでおらず、このまま米経済はソフトランディングをするのではとの期待が高まっています。
ここ数年間、大幅な変動をしてきた株式市場にとって、このFRBの方向転換はこれまでになく待ち望んでいたものでした。これで、年始にかけて、株式市場のクリスマスラリーを促す可能性があります。
注目すべきことは、伝統的な株式で構成されるダウ・ジョーンズ工業株が、昨日のFOMC決定後、最も上昇したことです。S&P500やナスダックといった他の指数に遅れを取った今年、ダウ・ジョーンズは昨日、1.4%も急騰し、始めて37,000レベルを突破して取り引きを終了し、史上最高値を更新しました。
S&P500もダウ・ジョーンズに続き、最高値より2%以内に近づきました。ナスダック総合指数は2021年に更新したピークまでには至りませんでした。
米長期金利急低下で米ドル下落、ゴールドはハト派転換のFRB歓迎で上昇再開
米債券だけでなく、世界的な債券市場での債券利回りの急低下は、リスクオンのセンチメントを押し上げましたが、米ドルにとっては打撃となりました。米10年債利回りは、8月以来初めて4.0%を下回り、ドル指数を4か月ぶりの低水準まで押し下げました。
一方、利回りの低下と米ドル下落によりゴールドは上昇し、ゴールドは今月の損失を補填すべく、今月初めの史上最高値への上昇に向かっています。
ユーロとポンドは回復基調も本日のECBと英中銀の政策決定次第か
ユーロは米ドルに対して3日連続で上昇しており、1.09ドルを突破して取引されています。しかし、本日のECBによる政策会合決定から圧力を受ける可能性があります。もし、ECBがハト派に転換する場合、特にユーロ圏の経済データは、米経済よりも軟調であるため、ユーロ上昇は制限されるかもしれません。
今週の低調な英GDP数値を受けて、ポンドの上昇も疑問視されていますが、ポンドが他の通貨と異なるのは、イングランド銀行がおそらく利下げ実施を行う最後の中銀とみられていることでしょう。
イングランド銀行は本日、金利を据え置くと見られており、金利のより高く、より長くとのメッセージを繰り返すと思われます。イングランド銀行が、英経済の見通し悪化を強調する場合はポンド下落のリスクとなり得ますが、今のところ、ポンドは1.2660ドル辺りまで回復を拡大しています。
スイス中銀による外貨売却緩和でスイスフラン下落、豪ドルとNZドルは上昇
スイス国立銀行は本日の政策会合にて、今後数か月でのスイスのインフレ加速を警告したにもかかわらず、スイスフランは本日、広範にわたって下落しています。スイス国立銀行は、政策金利を維持しましたが、利下げの可能性も示唆しました。しかし、ジョルダン総裁は、外貨準備の売却を緩和する意向を示したことから、スイスフランの圧力となり、ユーロに対して0.9491ユーロで取引されています。
豪ドルは本日、オーストラリアの雇用件数が予想を上回ったことから、4か月半ぶりの高値である0.67ドルを超えて最も上昇しています。またニュージーランドでは、第3四半期の経済が予想外に縮小し、ニュージーランド準備銀行による利下げ観測は高まったにもかかわらず、NZドルは上昇しました。