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・日銀植田総裁はマイナス金利解除後の選択肢に言及
・日銀の政策転換への期待から円高進行
・米労働市場の軟化を示す経済データも米ドルは続伸
・米株式市場下落、米原油在庫増加で原油価格は4%も下落
日銀総裁の発言で円高へ
米ドルは昨日、ほとんどの主要通貨に対して続伸しました。本日は、日銀植田総裁によるマイナス金利解除についての発言を受けて、日本円が表舞台に立ち、上昇しています。
植田総裁は、マイナス金利解除後の政策金利について、日銀当座預金への付利か翌日物コールレートなど、オプションがあると述べました。また、マイナス金利解除後、どの程度のスピードで利上げを実施するかは、経済・金融環境次第だとも付け加えました。
植田総裁は、超緩和政策からの脱却のタイミングについて示唆しませんでしたが、今のところ、物価安定目標の持続的かつ安定的な実現を十分な確実性を持って見通せる状況まで、超緩和政策を維持することを強調しました。しかし、特に他の中銀が予想よりも早い段階で利下げを実施するとの期待の中、植田総裁がマイナス金利について言及したという事実だけで、日本円は上昇しました。
ADPレポートで雇用減少も米ドルは回復を拡大
昨日の米労働市場の軟化を示す新たな経済データにもかかわらず、米ドルは上昇を拡大しまいした。昨日、ADPのレポートによると、民間部門の11月の雇用が予想を下回ったことが明らかとなりました。今週は、10月のJOLT求人件数でも、2年半以上ぶりの低水準となったことが示されています。
ADPのレポートは、米非農業部門雇用者数の予測としては、信頼できるとは言い難いですが、米ISM製造業指数と非製造業指数がともに、11月に低下したことからも、金曜日の雇用統計は下振れリスクとなる可能性があります。市場は、3月のFRBによる0.25%の利下げ開始を65%と見ており、来年末までの利下げ幅を合計1.25%となると織り込んでいます。金曜日の米雇用統計で米労働市場の減速を示す場合、米ドル回復は一段落するかもしれません。
市場は他の中銀による利下げの確率を引き上げている中、金曜日の雇用統計と来週のFRBによる政策金利発表を前に、おそらく米ドル下落が再開することに懐疑的であることから、米経済の減速を示す経済データでも米ドルは上昇し続けているのかもしれません。
ナスダック下落で株式市場全体も下落、原油価格も続落
米株式市場は昨日マイナスで取引を終えました。米10年債利回りが低下しているにも関わらず、金利に敏感なナスダックが主に下落しました。米借入コスト低下の見通しへの歓迎ムードの終わりと、世界経済が来年ハードランディングに向かうのではとの疑問を抱き始めたのかもしれません。したがって、金曜日の雇用統計への株式市場の反応は、経済情勢の方向についての手掛かりを得る機会となるでしょう。
エネルギー市場では、昨日原油価格4%も下落し、6月以来の低水準となりました。先週、エネルギー情報局が米ガソリン在庫の540万バレル増加を報告し、予想を100万バレルも上回ったことから、原油価格は下落しています。原油在庫は、予想以上に減少したものの、米原油生産量は、過去最高に近づく勢いで増加していることから、原油価格の下落の歯止めとはなりませんでした。先週のOPECプラスによる減産合意は、各国自主的なものであることから、全ての加盟国が新しい割当量を遵守するのかについて、投資家は疑問を抱いているようです。
カナダ銀行は昨日、政策金利会合にて、引き締め対策を維持したにもかかわらず、カナダドルは下落しました。これには、原油価格の下落が一因となっている可能性があります。カナダ銀行は金利を5.0%に据え置きましたが、インフレの見通しが引き続き懸念材料となっていることから、必要に応じて追加利上げも準備できていることを再び強調しました。