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・米求人件数は2年半以上ぶりの低水準
・米長期金利低下も米ドルは回復を維持
・ECBシュナーベル専務理事は引締めサイクルの終了を示唆
・ゴールドは2,010ドル突破で魅力的な資産に復活
米求人件数の減少も米ドルは回復を維持、米長期金利は続落
米ドルは本日、日本円を除いた他の主要通貨に対して上昇しています。とはいっても、米ドル上昇の勢いは多少失速しつつあり、豪ドルとNZドルがその恩恵を最も受けているようです。
昨日の市場は、米ドルが回復する中、米株式市場は強弱まちまちで取引を終えましたが、米国債利回りは続落するなど、市場は足並みがそろっていませんでした。FF金利先物によると、3月にFRBが最初の0.25%の利下げを行う確率は70%と予想されており、来年末までの利下げ幅は、合計で1.25%ほどになると見られています。
10月の米求人件数が2年半以上ぶり低水準まで落ち込み、労働市場の軟化と来年の米大幅利下げに市場が確信したことから、米長期金利は後退し続けています。この米求人件数の発表後米ドルは一時下落しましたが、その後すぐに回復しています。
金曜日の米雇用統計発表を前に、市場はショートポジションを買い戻しているのか、予想を上回った11月の米ISM非製造業PMI指数を好材料と見たのかもしれません。しかしながら、米製造業PMI指数と同様に、非製造業での雇用件数も減少が示唆され、金曜日の雇用統計での下振れリスクが上昇しています。本日は、ADPによる11月の非農業部門雇用者数の発表が注目となりますが、最近の傾向からすると、ADPの数値は政府による非農業部門雇用者数を予測できるような信頼できる数値とはならないでしょう。
ECBシュナーベル専務理事の発言で利下げ時期は前倒し
ユーロは昨日、最も下落した主要通貨ではなかったものの、ユーロ圏での予想以上のインフレ減速を受けて、ECBの利下げ観測が高まっている中、米ドル回復とともに、ユーロは下落しました。昨日、タカ派で知られるECBのシュナーベル専務理事は、インフレの著しい低下により、ECBは追加利上げを控える可能性があると述べ、来年半ばまで金利を据え置くなどと言及しない方がいいだろうとも付け加えました。
シュナーベル専務理事のこの発言により、市場はECBによる利下げ時期を早め、来年3月での0.25%の利下げは完全に織り込まれました。ECBがFRBよりも早く利下げを開始することへの期待から、米ドルが他の主要通貨に対して下落をすぐに開始するとしても、ユーロは下落する可能性があります。
豪ドル回復、カナダドルは本日のカナダ銀行による政策金利に注目
昨日、オーストラリア準備銀行が引き締め対策を緩和し、またムーディーズが中国経済の見通しを引き下げた後、豪ドルは1%以上下落しました。しかし、オーストラリアの第3四半期GDPが予想を下回り、またオーストラリア準備銀行が、次回2月の政策会合にて、追加利上げをする確率が昨日20%から10%に引き下げられたにもかかわらず、本日の豪ドルは回復基調にあります。
本日、カナダ銀行による政策金利発表があり、金利を据え置くと予想されています。カナダのインフレは予想以上に減速しており、第三四半期での経済活動も縮小が示唆されていることから、カナダ銀行は金利はピークを迎えたと示唆する可能性があり、カナダドルも下落するかもしれません。
ゴールドは後退も重要なゾーンから反発
ゴールドは、米長期金利がさらに低下しているにもかかわらず、昨日はおそらく、米ドルの回復に押し上げられ、上昇し続けました。そうはいっても、主要なゾーンである2,010ドル近くで反発した後、本日は上昇しています。市場が来年の大幅利下げを期待する中、金曜日の雇用統計がこの見解を裏付けする場合、ゴールドは保有へのコストが減少することから、強気派がポジションを増加する可能性があります。
米株式市場は昨日、ナスダックのみが上昇したものの、強弱まちまちで取引を終えました。米長期金利の低下とともに、ナスダックは金利予測に敏感であることを裏付けしており、市場が来年数回の利下げを期待する場合、さらなる上振れとなる余地があることを示唆しています。