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・OPECプラス会合延期で原油価格下落、米ドル一時上昇
・本日は米ドル後退を再開、他の主要通貨は景気後退緩和の兆しで上昇
・感謝祭の祝日で取引薄も株式市場は大方プラスで取引
OPECプラス会合延期で原油価格下落
昨日、OPECプラスが日曜日に開催される予定だった会合を11月30日に延期すると発表したことで、原油価格は急落し、市場は予期せぬ混乱に直面しました。OPEC加盟国と非加盟国ともに、現在の原油減産を来年まで延期することへの合意が予想されていたことから、今回の会合は重要な会合と見なされています。しかし、この会合延期によって、会議参加国が合意に向かって足並みがそろっていないとの憶測が広まり、OPECプラスによる供給逼迫の維持に疑問を投げかけています。
原油先物は、一時5%以上下落し、米原油在庫の増加により売りが進んだ後、損失の大部分を取り戻しました。その後の報道では、来年の生産割当の引き上げを模索しているアフリカの3国が、この減産に反対していると言われ、OPEC内での意見の相違が深刻化するとの懸念は緩和されました。
減産延長への合意に時間がかかかるだけの問題だとしても、OPECプラス内で減産延長に消極的な意見もあるようで、サウジアラビアがいつまで原油市場のバランスをとる負担の大部分を担っているのかは不明です。
したがって、原油価格は本日も、WTI原油先物とブレント原油先物がともに1%以上下落し、再度圧力がかかっています。
原油価格下落で米ドル上昇もその後は後退
しかし、変動しているのは原油価格だけにとどまらず、OPECプラスの決定は、インフレを2%まで引き下げるとの中銀の進展を加速または停滞させる可能性もあるため、原油市場以外にも影響があることを示唆しています。市場は利下げが数か月後に開始されると予想する中、昨日の原油価格の急落は、この利下げ観測に拍車をかけました。
エネルギー価格は、欧州や日本よりも米国においては、インフレを加速させる要因ではないと見られており、この動きから米ドルは上昇しました。原油価格がさらに下落すると、ECBといった金融引き締め対策の緩和の後退や、日銀による刺激策撤回への緊急性を低下させる可能性があります。
ユーロ圏と英PMIは景気後退底打ちへの期待に
それにもかかわらず、本日は、ユーロやポンドが11月のPMI速報値が予想を上回ったことで、上昇していることから、米ドルは軟化しています。ユーロ圏での景気後退の可能性を否定するのは時期尚早ですが、経済の低迷は底打ちしたとの暫定的な兆候があり、英経済も11月上旬にわずかながら成長しました。
イギリスではまた、昨日ハント財務相による秋季予算において、予想をわずかに上回る減税と経済成長活性化への一連の措置が発表されたことで、ポンドは続伸しました。
豪中銀総裁のタカ派発言で豪ドル上昇、円下落
豪ドルも昨日、オーストラリア準備銀行ブロック総裁のさらなるタカ派発言により上昇しました。また、苦戦している中国の不動産セクターが、中国政府による最新の支援策を受けて、この苦境を乗り切るのではとの楽観的なムードが広がりつつあります。
一方、日本円は米ドルに対して昨日下落し、本日は小幅上昇しています。市場は、明日発表となる日本の最新のCPI指数によって、インフレの動向への手掛かりを探すことになるでしょう。
米長期金利低下で株式市場には前向きなムード
株式市場では、本日、米市場と日本市場が祝日で休場のため取引薄となっている中、欧州株とアジア株は小幅上昇しました。米株式市場は昨日、感謝祭の祝日前に、国債利回りが低下したままだったため、プラスで取引を終了しました。エヌビディア株は2.5%下落したにもかかわらず、S&P500とナスダック総合は、FRBによる利上げ終了と利下げへの期待から、現在の上昇軌道を維持しました。
しかし、昨日の米経済データが証明するように、米経済が堅調に成長し続ける限り、FRBによる利下げはすぐに開始される可能性は低く、株式市場にはまだ期待通りとはいかない根拠があります。先週の新規失業保険申請件数は予想以上に減少し、ミシガン大学の消費者信頼感指数も、インフレ期待が2か月連続で上昇したことが明らかになりました。