マーケットコメント―FOMC議事録公開により米ドル下落は一段落

投稿日: 2023年11月22日19時10分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・FOMC議事録で金利の「より高く、より長く」との見解裏付け、米ドルのサポートに
・英中銀総裁の発言と秋季予算案でポンド上昇
・米株式市場は投資家にとって利益確定のチャンス
・ゴールド上昇基調で2,000ドル突破

FOMC議事録公開後米ドル下落は一段落

昨日、FRB前回会合(FOMC)の議事録が公開され、制限的な政策をしばらく維持する一方、価格圧力緩和を示唆する十分な進展が確認された場合に限って、追加利上げも検討することが明らかになりました。これにより、下落基調だった米ドルは他の主要通貨に対して安定の兆しを見せました。

議事録は、米インフレの粘着性が予想以上に証明され、金利の「より高く、より長く」維持するとの見解を裏付けする場合、追加利上げの可能性を残しました。したがって、米ドルの続落は一段落しましたが、市場は予想金利経路を修正しませんでした。おそらく、前回会合の時期が、予想を下回った米雇用統計やインフレデータの前に開催されたため、議事録の内容が現状を反映していないと見られたのかもしれません。これら最新のデータから、現在市場は利上げ観測を撤回し、来年の利下げ幅を0.9%まで拡大させています。

市場の反応からすると、FRBによる発言や見解よりも最新の経済データに注目していることがわかります。したがって、米ドルが本格的に回復するには、米経済の堅調さと粘着性のあるインフレを証明するデータが必要となるかもしれません。その場合、追加利上げ観測が再度浮上しなくても、市場は来年の利下げ幅を縮小させる可能性があります。反対に、今後の米経済データが引き続き予想を下回る場合は、利下げ幅が拡大する可能性があります。

英中銀総裁の発言でポンド上昇、ハント財務相は本日秋季予算案発表

一方イギリスでは、昨日の英財務省特別委員会の公聴会で、イングランド銀行ベイリー総裁が金利についての見解に変更はなく、利下げを検討するのは時期尚早であることを再度強調しました。これにより、ポンドは米ドルに対して上昇し続けました。ベイリー総裁は、英インフレは依然として上振れのリスクがあると警告したにもかかわらず、市場は追加利上げは織り込ます、来年の利下げ幅を0.65%ほどと予想しています。

本日の焦点は、ハント財務相が、低迷する英経済の活性化に向けて、政府の財政課題を発表する秋季予算声明となります。大幅な改革については、選挙が近づく春季予算案に持ち越される可能性がありますが、本日、減税が発表される場合、イングランド銀行による追加利上げの確率も高まり、結果としてポンド上昇となるかもしれません。

米株式市場は利益確定で後退もゴールドは続伸

米株式市場は昨日、ナスダックが特に下落し、後退しました。ここ最近の株価急騰に続いて、FOMC議事録公開により、投資家は利益確定に動いたのかもしれません。しかし、市場は依然として来年の0.9%程度の利下げを織り込んでおり、債券利回りも低下しているため、株価が再び上昇する可能性は否定できません。

昨日の株式市場休場後、エヌビディアの決算報告があり、予想を上回りました。しかし、エヌビディアは、米国の対中半導体輸出規制に伴い、中国での売り上げが第4四半期に大幅減収するとの予想を発表したことから、大手ハイテク株は閉場後下落して取引されました。

米ドル下落一服と株価後退によって、ゴールドは回復を延長し、2,000ドルを突破して取引されました。市場は今後FRBによる利上げはないと確信しているようで、利下げの開始は早ければ来年5月になると見られている中、中東への懸念が後退しているにもかかわらず、ゴールドは引き続き魅力的な資産となっています。