マーケットコメント―米株式市場はドル安から続伸、本日のFRB議事録に注目

投稿日: 2023年11月21日19時49分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・FRB利下げ観測とAI関連株価上昇で米株式市場は急騰
・本日のFRB議事録が株価ラリーを阻むことになるか?
・米ドルは3か月ぶりの安値、豪中銀タカ派会合議事録で豪ドル上昇、中国は不動産業者への刺激策

本日のFRB会合議事録を控え、感謝祭休日前に米株価上昇

今週後半の感謝祭の大型連休を控え、昨日、米株式市場はポジティブに開場しました。本日も、市場は今後の金利経路への方向性への手掛かりを待つ中、この前向きなムードは維持されているようです。

FRBは本日、木曜日の感謝祭休日を考慮して一日早く前回のFRB会合(FOMC)議事録を公開する予定です。市場によるFRBの予想金利経路は先週、予想を下回った10月の米CPI指数を受けて、利下げ幅が大幅に拡大されました。

今月の会合以来、インフレの鈍化と米経済成長の減速が確認されたことから、本日の議事録は、いくらか現状と一致しない見解があるものと思われます。しかし議事録にて、金利の「より高く、より長く」との見解が繰り返される場合、利下げ観測に打撃となり、株価下落となる可能性があります。

米株式市場はAI関連株の急騰、中国政府の刺激策もアジア市場は後退

今週の株式市場の原動力となっているのは、FRBによる政策への期待だけでなく、AI(人口知能)へのトピックも話題となっています。

先週の金曜日、オープンAIのサム・アルトマン氏がCEO職を突然解任された後、マイクロソフトは、アルトマン氏と共同創始者であるグレッグ・ブロックマン氏を新規事業であるAIリサーチ部門に迎い入れると発表しました。他のオープンAIの従業員も、この解雇に反対して辞職して、マイクロソフトへの入社を示唆したことから、マイクロソフトにとっては、大きな勝利と見なされました。

この騒動を受けて、マイクロソフトの株価は昨日、史上最高値を更新し、一方でエヌビディアなどAI関連の株価も上昇しました。本日の決算報告で、第3四半期での収益増加が見込まれるエヌビディアにとって、この株価上昇は絶好のタイミングだったと言えます。

ナスダック100は昨日、今年の最高値で取引を終え、2年前に更新した史上最高値よりわずか4%ほど下回る水準に迫っています。

また、中国政府は本日、不動産セクターへの融資を増加し、支援する新たな対策を発表し、さらなるセンチメント向上となっています。報道によると、中国ではデフォルト回避と窮地に立つ住宅市場のため、特別融資の対象となる開発会社50社のリストを選定しているとのことです。

しかし本日のアジア株式市場は強弱まちまちとなり、中国が経済への信頼回復への課題に直面していることとは反対に、米経済での楽観的なムードを裏付けています。

タカ派豪中銀で豪ドル上昇、円高進行

オーストラリアでは、鉄鉱石輸出業者が中国の不動産セクターの回復の恩恵を受けることから、豪ドルが一時的に上昇しましたが、その後下落しました。豪ドルが米ドルに対して上昇した背景には、中国での回復の兆しだけでなく、オーストラリア準備銀行がブロック新総裁の下でタカ派に転じたことも起因しているようです。

ブロック新総裁の発言とともに、本日公開された豪中銀の前回会合議事録では、インフレへの懸念が示されており、日銀を除いて、豪中銀が追加利上げの可能性が十分見込まれている唯一の中銀となっています。

米ドルは、本日も主要通貨に対して続落しており、特に日本円に対して急落するなど、3か月ぶりの安値近くまで下落しています。

欧米のインフレ低下により来年の利下げが現実的となる中、日銀がようやくインフレ率2%を維持し、マイナス金利から脱却することを示唆していることから、日本円は今月急激に上昇しています。

カナダドルは本日のカナダ中銀会合議事録とOPECプラス会合次第

本日米ドルは2か月半ぶりの安値である147円14銭まで下落し、一方カナダドルは本日のCPI指数を前に横ばいで取引されています。

カナダドルは、原油価格が9月以来の安値に向かっている中、米ドルに対してそれほど上昇していません。しかし、OPECプラスが今月26日の会合で、原油減産の延長を発表するとの憶測から、今のところ、原油価格の下限はサポートされているようです。

WTI先物は、小幅安で取引されており,、2日連続の上昇は一服しました。