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・明日のFRB前回会合議事録公開を前に米ドル続落
・他国の中銀による利下げ観測の高まりから日本円上昇
・原油供給減産延長への憶測から原油価格上昇、ゴールドも安定
米ドルは軟調
今月は、世界の主要経済における予想を下回る経済データの発表が続き、世界市場でのこれまでの見解に変化が生じています。市場では、中銀による利上げ観測に終わりを告げ、その代わりに来年の利下げへの憶測が広まっています。
欧米の中銀は、インフレとの戦いから経済保護に今後の方針と変更しつつあり、市場は今のところ、来年の春か初夏頃に緩和サイクルが始まるだろうと予想しています。この価格再設定により、債券利回りは低下し、ゴールドや低金利から恩恵を受ける株式などの資産には好材料となっています。
為替市場では、利回りの低下は米ドルの軟化を意味します。この理由の一つには、米経済には、他国の経済と比べて、さらなる利下げの余地があり、また、リスク資産の楽天的なムードにより米ドルの安全資産としての需要が低下するからと言えます。
したがって、ドル/ユーロ市場では、米経済が現在、ユーロ圏の経済よりもはるかに堅調であるように見えることを考慮して、FRBとECBが来年、ほぼ同時に、そして同様な利下げ幅を実施するとの市場の予想が現実となり得るのかが課題となるでしょう。今週木曜日に発表されるユーロ圏のPMI指数が、この見解を裏付ける重要な指標となるでしょう。
日本円回復、ポンドは英政府による減税案に注目
米ドル安と主要経済での利下げ観測の高まりから、日本円は復活しました。先週30年ぶりの円安となった後、3日連続で円高となっています。
この円高がトレンドの反転の始まりであるのか、単なるまやかしの夜明けであるのかには疑問が残りますが、日本円にとっては、来年は日銀が利上げの取り掛かる一方、他の中銀は利下げを始めるとの環境の下、マクロ経済の観点から良い兆しのようです。日本のインフレは加速しており、政府も経済成長を後押しする刺激策を準備しており、緩和政策に向かう世界市場に逆らって、市場は日銀が来年引き締め政策を実施することを期待しています。
イギリスでは、水曜日の秋季予算案を控えて、政府は停滞する英経済の活性化のため、所得税削減を提案するとも言われており、英国の政治に再び関心が集まっています。世論調査では、保守党は労働党にリードを許しており、来年の選挙が近づく中、この減税案は、世論を味方につけるためのスナク首相による最後の試みにも見えます。
ポンドにとっても、この流れは良い材用となります。所得税の引き下げは、英経済を景気後退から守るべく機能し、またインフレ上昇の維持となるため、結果として、イングランド銀行は高い金利を維持することができます。したがって、減税が発表される場合、ポンド上昇につながり、経済成長と金利経路の観点からもメリットとなる可能性があります。
原油価格回復、ゴールドも上昇
コモディティ市場では、先週OPECプラスが原油減産計画を来年まで延長することを示唆したことから、原油価格上昇となりました。減産計画は今年末に終了する予定でしたが、サウジアラビアは来年の需要の低下を懸念しており、供給を制限し続けることで、原油価格の下限を設定したいとの意向があるようです。
来年の世界の中銀による利下げ観測が高まったことから、ゴールドは先週、急激に回復しました。ドル安もドル建てとなるゴールドには恩恵をもたらし、現在過去最高値から5%未満の水準で取引されています。
ゴールドにとって今後の行方の手掛かりとなる次の重要なイベントは、明日のFRBの前回会合議事録の公開となるでしょう。