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・米長期金利上昇で米ドル復活
・ゴールドと原油価格は小幅下落-地政学的リスクの後退を反映か?
・豪中銀利上げ決定も豪ドル下落、FRBメンバーの発言に注目
米ドルは上昇を再開
世界市場は引き続き、地政学緊張から米経済データの軟化まで、様々なりスク要因への対応に追われています。特に投資家にとっての最も差し迫った課題は、米長期金利がこのサイクルでピークに達したかどうかです。
利回りは、本質的には通貨の価値となり、債券市場での変動は、中銀による金利の上げ下げ同様の効果があります。先週、期待外れの米経済データと、米財務省による短期債券の発行増加の発表など、いくつかの要因が重なり、米国債利回りは著しく低下しました。
しかし今週は、形勢が逆転し、利回りが再び上昇し、米ドル上昇をサポートしています。一方で、ゴールドのような利回りの発生しない資産への需要が後退しています。
米経済のパフォーマンス面では、米ドルは他の主要通貨に対して上昇しています。米経済の成長には減速の兆候が見られ、労働市場もやや緩和しているものの、下振れリスクが顕在化しつつある欧州など、他国の経済に比べて、米経済は堅調と言えます。
ゴールドと原油価格は下落基調
ここ1か月、中東での紛争が大規模な戦争に発展することへのリスクと、現地のエネルギー生産の混乱への懸念が高まったことで、安全資産へ需要は増加しました。そのため、ゴールドと原油価格は、金融市場での地政学的な緊張のバロメーターとして機能しました。
しかし、ここのところ、ゴールドと原油価格の下落しており、イランがこの紛争に参加しないことが明らかになるにつれ、市場の地政学への懸念は後退しているようです。
ゴールドは先週以来、比較的軟化して取引されているようです。米長期金利が急落し、米ドルが売られたとの環境は、理論上ゴールドの上昇につながる好条件となりますが、実際にはそれほど上昇しませんでした。したがって、地政学的なリスクが高まらなかなったことで、これらの好条件にも影を差し、投資家はゴールドのポジションを手放したようです。
同様に、サウジアラビアとロシアが年末まで原油供給を減産することを表明したにもかかわらず、原油価格は8月下旬以来の安値まで下落しています。そのため、地政学的なリスクは既に原油価格に織り込まれており、本日の低調な中国貿易統計により、原油の需要緩和が予想されたことで、さらに原油の売りを後押ししているようです。
豪中銀は今後の見通しをトーンダウン、本日FRBメンバーの発言続く
オーストラリア準備銀行は本日、持続するインフレ圧力を理由に、大方の予想通り利上げを決定しました。しかし豪中銀は、フォーワード・ガイダンスをトーンダウンさせ、必要に応じて追加利上げを行うかは不確実と示唆しました。
短期金融市場は、本日の政策決定まで、豪中銀が来年追加利上げを行うと確信していましたが、この声明発表後、豪ドルは急落しました。豪中銀は中立的なスタンスで、今後の方針はデータ次第であることを強調しました。金利見通しが後回しとなる中、豪ドルの行方は、再度、世界的なリスクセンチメントと中国経済の動向に左右されることになるでしょう。
本日の経済イベントは控えめですが、FRBメンバーの発言が控えています。FRBバー副議長とウォラー理事、そしてニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁はそれぞれ、講演を予定しています。