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・期待外れの米雇用統計から米ドル急落
・利回り低下で株価急騰もゴールドは恩恵受けず
・明日の豪中銀政策決定と中国の貿易統計に注目
軟調な米雇用統計から米ドル下落
先週金曜日の米雇用統計が予想を下回ったことから、米ドルは下落しています。10月の米非農業部門雇用者数は15万件となり、予想の18万件を下回りました。また、失業率は上昇し、賃金の伸びは引き続き減速しました。この結果、米労働市場が徐々に緩和し始めていることが示唆され、高インフレに対応するFRBにとっては朗報となりました。
労働市場の緩和によって、米ドルは急落しました。市場はFRBによる利上げが既に終了したことを確信したことから、米ドルは金曜日、主要な通貨に対して1%下落しました。これにより、投資家は債券買いを再開し、米国債利回りは大幅に低下しました。
米経済データの軟化と、FRBの引き締めに対する慎重な姿勢、そして、米財務省の短期債への債券発行のシフト計画などが重なり、米国債利回りは先週、大幅に低下しました。インフレの減速と正しい方向への債券供給とともに、問題は利回りがピークに達したのかどうかです。
米ドルはしばらく、売り圧力に晒される可能性がありますが、米国以外の経済は、いずれも低調なため、本格的なトレンドの逆転とはなりにくいでしょう。米ドルは通常、安全資産として、サイクルの後期にて恩恵を受けやすく、ユーロ圏が景気後退に近づく中、最近のユーロ回復が長く継続する可能性は低いでしょう。
株価急騰もゴールドは上昇できず
米国債利回りの低下により、米株式市場は先週、今年最も好調な週となりました。アップルの収益報告は期待外れとなったものの、S&P500は先週だけで、驚異的な6%の上昇を遂げました。株式市場は「悪いニュースは良いニュース」との見解で取引されており、少なくとも現在の段階では、利回りの低下からの安堵感が収益報告への懸念を上回っているようです。
ゴールドも、利回りの低下とドル安といった環境の下、通常恩恵を得ると見られていますが、今回はゴールド上昇とはなっていないようです。ゴールドは先週下落しており、これは憂慮すべき兆候です。
債券市場や為替市場からの好調な条件でゴールドが上昇しなかったことは、安全資産としての資産流入が一段落していることを示唆しています。ガザ地区での情勢は、特にヒズボラ指導者らが、イスラエルへの戦争を発表しなかったことから、周辺諸国への戦争となる可能性が低くなりつつあります。原油価格の下落も同様に説明できます。
円は大幅上昇ならず、明日の豪中銀による政策決定に注目
一方、日本円は先週、軟化する米ドルに対して、かろうじて上昇することができたようです。日本円の低迷の主な原因は、先週の日銀の政策決定が、イールドカーブ・コントロールの微調整にすぎなかったことと、先月は結局政府による為替介入がなかったことが発表されたことによります。
明日は、オーストラリア準備銀行による政策決定が予定されています。最新のインフレ率の上振れを受けて、市場はオーストラリア準備銀行による利上げの確率を60%と織り込んでいます。人口増加と逼迫する労働市場、そして住宅価格の高騰もインフレ率加速のリスクとなります。
豪中銀が利上げを決定する場合、一時的に豪ドル上昇となる可能性がありますが、豪ドルの長期的な予測経路は、世界的なリスク選好度と中国経済の動向にも大きく影響されます。そういった意味では、明日発表の中国の10月貿易統計も注目となるでしょう。